第4話 種族の決定
さーて、配信も開始して、初回の配信で既に6人も視聴してくれている! ふっふっふ、これこそ私の本当の実力なのさ!
本当の初回の配信はミスったやつだけど、あれはカウントしなーい! あんなもんは記憶の中から消去ですよ! アーカイブもしっかりと消したしね!
それはともかく、今はプレイする種族を決定していかないとねー! それにしても、このゲーム、人はいないんだね。うーん、操作感ってどんな感じなんだろう?
狐が選べるなら、迷う余地なく狐を選んだのになー。狐は進めたらアンロック出来るらしいから、そこまで早くやってしまいたいね。
「うーん、悩むなぁ……。皆さん、なにかおススメとかってありますかー? 出来ればネタバレは極力なしでお願いしたいですけど」
うん、なんか自分で考えてたらなかなか決まりそうにないから、視聴者の人の意見を参考にしよう。コメントを聞いた感じでは、どの人もプレイ済みみたいだしねー。
神奈月 : ネタバレなしでか。
ミツルギ : うーん、極力ネタバレせずにお勧めは難しい。
イガイガ : どうしても育成方法や方向性に触れる必要が出てくるもんな。
真実とは何か : 効率的な攻略方法を教えたら、この初見プレイは台無しになりそうな気もする。
金金金 : オンライン版だと初期枠はランダムだけど、オフライン版だとランダムねぇの?
咲夜 : 種族の初期ランダムはオフライン版にはねぇよ。てか、進めれば全部出来るし、10種類からランダムにしてどうする。
金金金 : あ、ランダムはないのか。こりゃ失礼。
ありゃりゃ、流石にネタバレなしではおススメもしにくいみたいだね。んー、これは困った。それにしてもオンライン版って初期枠……初期枠って何? 複数の枠があるの? オンラインゲームはやったことないからよく分からない!?
うん、よく分からないことは置いておくのが鉄則だね! 別に私はオンライン版をやる訳じゃないから意味不明でも問題はないのだ! それにしてもランダムかー。
「ランダムで決められたら楽なのにねー」
あっさり決める時にはすぐに決まるけど、悩み始めるとなかなか決まらないんだよね。うーん、本当にどれにしよう? 流石にキャラ決めでそんなに時間をかけすぎても仕方ないんだけど……。
ミツルギ : いや待てよ? サクラちゃん、配信機能の中にサイコロがあったろ。面数を決められるやつ。
イガイガ : あ、あれか!
「え? サイコロ? なんです、その機能?」
はて? サイコロ自体は普通に分かるけど、それがなぜ今ここで出てくるのかがよく分からない。
ミツルギ : ……機能をちゃんと把握しているのを期待した俺が悪かった。
金金金 : え、分かりきってた事では?
イガイガ : だよなー。
咲夜 : ミツルギ、広げたお前がそれを認識していないのはダメだろう。
真実とは何か : まぁある意味期待通りではあるが、ミツルギもドジっ子入りか?
ミツルギ :うるせぇよ!
「ちょっと、皆さん!? 失礼じゃありません!?」
なんで私がドジっ子という大前提で話が進んでいるのさー!? 私はドジっ子じゃなーい! うーん、早めにこの認識を改めさせなければ……。
でも、ミツルギさんが配信機能にサイコロがあるというのであれば、もしかすると本当にあるのかも? えーと、配信機能のメニューってどうやって呼び出すんだろ? あ、配信用のVR空間のアバターの方に一旦操作を切り替えれば良いんだね。
「自分じゃなかなか決めきれないので、ちょっとサイコロがあるか確認してみますねー!」
とりあえず、操作を切り替えー! あ、ゲームの方は中断中って表示されるんだ。なるほど、なるほど、これは一つ賢くなりましたね。
イガイガ : ドジっ子2号、この後の展開の予想を頼む。
ミツルギ : ちょっと待て! その2号って誰の事だ!?
咲夜 : え、言う必要あるの?
金金金 : ないな。
真実とは何か : 時に言わなくていい真実もあるものだ。
神奈月 : いい事言うね、真実さん。
ミツルギ : もうやだ、この流れ……。
何か視聴者さん同士でおかしな流れになってきてる!? ミツルギさん、私が流れをまともにするからもう少し待っててね! 一緒にドジっ子判定を払拭しよう!
ともかくその為にも、サイコロ機能とやらを……あ、普通にあった。選択してみたら、普通のサイコロが目の前に出てきたよ。
イガイガ : あ、サイコロ出てきたぞ。
ミツルギ : よし、あったならそれを使おう。
サイコロを使うって、どうやって使うんだろう? サイコロで選択する種族を決めるって事なんだろうけど、サイコロだけでどうやって決めるの?
選べる種族、6種類以上あるよ? あ、でも視聴者さんは丁度6人だし……。
「はっ!? さては皆さんに決定権を委ねろと、そういう訳ですか!? 良いでしょう、私に丁半博打で勝ったなら、甘んじて皆さんの要望を受けましょう!」
金金金 : ちょ、何がどうしてそういう発想になった!? え、数字は俺らに割り振るの!? てかなんで丁半!?
イガイガ : ……悪い、ミツルギ。ドジっ子2号はお前には程遠い領域だったようだ。
ミツルギ : そういう謝られ方されても釈然としねぇけどなー!
咲夜 : あー、うん。そこで説明が必要になるとは思わなかった。初期で選べる種族は10種類だから先に数字を割り振っといて、10面用のサイコロにしてその出目で決めるんだよ。
あ、そういえばミツルギさんも面数が決められるとかなんとか言っていたような気も……? あはは? サイコロって言葉だけで他の事が抜け落ちてた気がするね。
うん、サイコロの面数の切り替えって項目があって、0~9が出る10面のサイコロも設定出来るみたい。これなら実質ランダムで出来るよね。そっか、ミツルギさんはこれをやろうと……。うっわ、さっきの私、恥ずかし!?
「や、やだなー? それくらいは理解してますよー! さっきのは冗談ですって!」
ミツルギ : 嘘だ!
イガイガ : 絶対に嘘だ!
真実とは何か : 真実は時として偽られるものである。
咲夜 : まぁゲームが進まないから、そこら辺はスルーでいこう。
神奈月 : だなー。
金金金 : とりあえず、0なら『木』、1なら『草花』、2なら『クマ』、3なら『リス』、4なら『イノシシ』、5なら『トカゲ』、6なら『ゾウ』、7なら『ライオン』、8なら『海藻』、9なら『サメ』で行こう。
「よし、金金金さんが用意してくれたのでそれでやりましょうー!」
うん、思いっきり嘘だと見抜かれてるけど、そこは気にしない! 真実さんが言っているように、真実は偽られる事があって当然なのさ! 何もかも真実だけを突き付けたとして、誰もが幸せな世界なんて存在しないのである!
この場合、私が恥ずかしい思いをするので全力で偽らせて下さい。お願いします!
「それじゃ早速サイコロを振りますねー!」
とりあえずここは勢いで誤魔化して、ゲームを進めてしまおう。咲夜さんも言ってるけど、全然ゲームが進んでないしね! これじゃ私の恥ずかしい光景の配信だけになっちゃうから、それだけは阻止せねば!
それじゃサイコロを初めから置いてあったテーブルの上で転がしていこう。えいやっと!
「お、サイコロの目は7だから……えーと、ライオンですね! ライオンかー!」
選択肢の中では一番狐に近いものになった気はするね。四足歩行の操作とかどうすればいいのかわからないし、ある意味では狐を目指すには良いのかもしれない!
ふっふっふ、それに百獣の王と呼ばれるライオンを引き当てるとは、私に配信者の王となれという啓示なのかもしれない。よーし、頑張るぞー!
金金金 : 画面はサクラちゃんがサイコロを振った様子だけで、肝心のサイコロの出目が映ってないんだが……。
ミツルギ : 機能面での説明は……もう俺はしたくない……。
イガイガ : ミツルギ、諦めんなよ! お前なら、出来る!
咲夜 : そうだぜ、ミツルギ。それこそお前の出番じゃねぇか。
真実とは何か : 真実とは時に残酷なものだな。
神奈月 : さて、茶番は放置して、サクラちゃん、カメラの設定項目に視点を自身のものに切り替えるって項目はない? VR空間で何かする時はそれを使うと良いよ。
「あ、はい、ありました! 神奈月さん、ありがとうございます!」
サイコロの様子が映ってないと言われて少し焦ったけど、神奈月さんが使い方を教えてくれてなんとか切り替えられた! ふふん、これでも学習は出来るのですよ、私は!
さて、これで無事にどの種族で始めるかが決まったし、ライオンで実際にゲームをやっていこう! あー、なんだかゲームを実際に開始するまでが長かった!
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