第6話魄皇鬼 1
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村を炎が襲う。
大人も子供も悲鳴を上げ、逃げ惑い、襲いかかる妖魔になすすべなく狩られていく。
渦巻く風が炎を煽り、家を人を飲み込んでいった。
白く豊かな長い髪を、炎の熱気が巻き上げる。
炎の舐める屋敷の屋根から、村を見下ろす美しい青年の顔に表情はない。
彼にとって人の生き死になど、地を這う虫の様にどうでもいい物。
ならばなぜ狩るのか?
自問に、わずかに表情が動く。
本能。
ふと、心地よい人の悲鳴の中に妖魔の断末魔を聞き視線を巡らせた。
その数は徐々に増し、消えていく妖魔の気配はこの村の中心、
ほぅ。
強い者がいるな。
屋根の上から見下ろすと数人の人間が、札や、
「
「すぐに落ち着きますゆえ、この……」
ザシュッ!
聞き逃すかと思うほどの小さな音だった。
牛鬼は最後まで言葉を発する事なく、その首は屋根を転がり落ち、炎の中に消えていく。
ドサリと重い音を立てて崩れる牛鬼の身体の影から、朱色袴の細身の人間が姿を現した。
女。
輝くばかりに光に満ちた細い刀身が炎の照り返しを受ける。
「鬼。非道は許しません」
歳は十五、六か。
高く結った長い髪が、巻き上がる熱風になびく。
「神刀〈紅桜〉参ります」
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