第10話 VRでホラーゲーム3




 前回ログアウトした最後の位置は教室なので安心して配信準備を進められる。初期位置のこの教室で幽霊には会ってないからね。準備中に幽霊に襲われても困るし。

 接続等のチェックが無事に終わったので『わすれもの』のゲーム配信を始める。


  

「おまたせ、nicoだよ。教室からこんばんは。」


『こん修羅!』『幼女か修羅かそれが問題だ』『この瞬間を待ってたんだ!』『生きがい』


 

 窓から見える風景は初めてこの教室で目を覚ました時と打って変わって重々しい暗闇が広がっている。

 よくよく見ると遠くの方でぽつぽつと街灯が見えるがまるで別世界のような切り離された雰囲気を醸し出している。ここだけ見れば綺麗なんだけどホラーゲームなんだよね...。



「ちゃんと映ってるかな?本当に景色とか雰囲気とか…いいゲームだよね。」


『わかるマーン』『クリアした後もたまに来ちゃう』『探索のみのゲームとか作って欲しいな』


「それいいね。景色とか雰囲気重視の場所を探索するの楽しそう。」



 歩くだけだとゲームとして発売は難しそうだから作られる事はないだろうけど、好きなように探索できるのは一度でいいからやってみたいね。



「そうそう、忘れないうちに連絡ね。近い内に視聴者さん参加型の企画を考えてるから…具体的にはこのゲームをクリアしたくらいにやる予定だよ。」


『おお!?』『何するん?』『nicoとお喋りできる可能性が微レ存?』


「ふふっ、どうだろね。日にちが近くなったら詳細を『Conect』でお知らせするからよろしくー。」



 前回の配信から日はそれほどあいていないけど軽くおさらい程度には前回の内容を喋っておこうか。



「一応前回のあらすじをさらっとおさらいするね。アーカイブは残してあるから気になったらそっちを見てね。」



 そういって前回の内容を思い返す。わざわざ口にするようなハプニングは…何もなかったしストーリーを軽くなぞっていくくらいでいいかな。



「このアバターの子、彩花ちゃんっていうんだけど教室に取り残されちゃったみたいで、今いるこの教室からゲームは始まったね。」



 いくつか疑問に思うこともあったけど、まだ序盤だから分かっていない事の方が多いんだよね。ノートの切れ端とか他のアイテムもたぶん探索で見つけないとだからね。



「それで…そう、家に帰ろうとしたら昇降口の扉が開かなくて鍵を探しに職員室に行ったら幽霊に鍵を持っていかれたのが前回のざっくりした内容かな。」


『30秒で分かる前回のあらすじ』『かなり端折って草生える』『幽霊に怯えるnicoはいなかった、いいね?』


「いや、実際こんな感じだったからね!嘘だと思うなら見返してきて。」



 ボクが幽霊なんかに怯えるわけないじゃないか。視聴者さんは錯覚でも見てたのかな?それじゃあ、表示されてる現在の目的は『学校を探索しよう』なので校内をぶらぶらと探索しようか。



「という事で今回は色々と探索をしていきます。それと配信前に教室で見つけた物をちょっと。」



 フライングで申し訳ないけど配信を繋げる前に教室の中を見回っていたんだよね。最初に座っていた席は主人公席窓際最後尾って言うんだっけ?何かないかなと思って、そしたら自分彩花ちゃんの机からノートの切れ端を見つけてね。


 アイテム名は『ノートの切れ端2』で『なんでこんなことになったんだろう』と書かれていた。


 アイテムを見終わると『わたしこんなの書いたかな?』って、セリフが出てきてね...ストーリーに関わりそうな事があるなら配信前に探索はやめようと心から思ったね。でも、見逃したサブイベント?がこんな直ぐ傍にあるとは普通思わなくないかな?



「という事があったけど、これはボクのせいじゃないよね?」


『うーん、ギルティ』『おっちょこちょい属性も搭載しているとはこのリ(ry』『nicoは悪くないよねぇ?』


「うん、無罪みたいだから他にアイテムがないか探索するね。」



 前から気になっていた掲示板に貼ってあるプリントの内、避難経路の書いてある校内マップを手にとる。これは持って行けるのかな。



「やっぱりこの地図もコレクションとして持っていけるみたいだね。…色々と目についた物は触っていかないとかな。」


『せやね』『イベントアイテム以外は発光しないから注意して』『コレクションアイテムは割と多かった気がする』


「ふーん、なるほど。何度も戻ってくるのはさすがに面倒だし、教室にあるものは全部見ていこうね……あれ?こんなシミみたいなのあったかな。」



 校内マップの貼ってあった壁に赤い染みのようなものを見つけた。最初に見た時はこんなのなかったと思うけど。疑問に思いライトを近づけた瞬間



「ひぁあッ!?」



 バンッ!!っと、壁を強く叩きつける音と共に血染めの手形が現れたのだった。こんな時に限って上履きが滑ったのか尻餅をついてしまった。いきなり大きな音を出すからびっくりしただけだし。



「はー…絶対ゆるさない。」


『びっくりしたnicoも可愛いなぁ!』『やっぱり怖がりなんじゃ()』『後ろからワッて脅かしたい』


「音にびっくりしただけですからね。怖い訳ないよ。」



 このイベントを考えたゲーム制作者への怒りを飲み込む。こんなに細かいイベントまで作らなくても…製作者たちの熱意がボクには分からないよ。壁に手を突きながら立ち上がる。



「はぁ…校内探索に出かけるから行って欲しい所を募集するよ。」


『校長室カモン』『理科室!』『音楽室』『放送室とか?』


「んー、近いのは音楽室かな?コメントありがとうね。」



 教室を出るといつもの幽霊が外をたむろしていた。懐中電灯の光を徘徊幽霊くんに浴びせる。やはりというべきかこのゲーム特有のゲーム設定があるようだ。身体を震わせ動きが鈍くなっている。



「やっぱりそうだね。前にも思ったけどこの影たちには光を当てるのが有効で確定かな。」



 幽霊には物理的な攻撃は通じない、けれど懐中電灯の光は足止めの効果を発揮するようだ。そもそも夕暮れとはいえ太陽が出ていた時には徘徊幽霊くんがいなかったのを見るに光そのものが弱点とかかな?安全なのを確認して階段の方へと歩いていく。



「よーし、気を引き締めていこう…別に怖いわけじゃないけど。」



 ホラー要素を挟まれると途端に校内を歩いてる時の怖さが増すんだよね。暗いのと、寒いとは違うひんやりとした涼しさ?とが合わさって雰囲気がすごい。

 懐中電灯の光を頼りに音楽室へと歩いていく。音楽室は4階の階段を上がって右手側の突き当たりに位置する。今いるのは3階のため階段を上がってしまえば音楽室まですぐであるが。



「明らかに他のとは違うね。何ていうな禍々しい感じ?」


『ボスかな?』『三倍速くらいで動きそうな色してるな』『敵意がありますって目に見えるデザイン凄いですね』



 今まで見てきた幽霊はだいたい腰くらいまでの大きさであったが目の前に立ちはだかっているのはこのアバターの身長を優に超えている。刺々しいフォルムに赤黒い瘴気のよいなものが立ち昇っている。

 ライトを当てるために近づいたらまったく怯まずにそのまま襲われたので最初から逃げる準備をしていなかったら初ゲームオーバーになってたかも。



「名前は赤信号幽霊くんに命名するよ。」


『相変わらずのネーミングセンスェ』『その内鍵を盗んでいった幽霊にも付けそうだな』『禍々しくてもくん付けをやめない精神見習いたい』


「こっちから通るのは難しそうだね。」



 となると中央階段の方から4階に行くしかないか。





***





 ようやく音楽室が見えてきた。三階の中央階段を上り4階の端に位置する音楽室までひどく大回りさせられた。途中徘徊幽霊が出たけど対処方法が分かってるから特にこれといったハプニングはなかった。



「…?聞こえてくるのはピアノの音かな。」



 廊下にいても教室からピアノの音が聞こえる。何の曲までかは分からないけど、そもそもこんな真夜中に学校でピアノを弾いてる人がまともなわけないよね。



『先生かな…?』



 懐中電灯の光で照らしながら音楽室へと入る。電気も点けられておらず音楽室内も月明かりに照らされている窓際が若干明るいくらいだ。中には誰もいない。教室の中は完全な静寂に包まれている。さっきまでピアノの演奏がされていたとは思えないくらい静かだ。



「ピアノの音が消えた?」


『だれも…いない?』



 ピアノが置いてある教室の最前部へと警戒しながら近づいていく。目に見える異変はない。ピアノには布が被せてあり、今さっき使われていた形跡すらない。



 すると入ってきた入口の方でガラガラと扉の動く音が聞こえてきた。もしかして閉められた?



『先生…?』



 イベントシーンに入ったのか身体を動かせなくなった。人影がゆったりとした動きでこちらに近づいてくる。



『あの…とびらがしまってて…それで』



 彩花ちゃんがうつむきながら喋っているためか近づいてくる気配が何かを見れていないでいる。演出がうまいというか恐怖心を煽るのが上手だ。敵対しうる相手が何か『わからない』というのは大きなストレスになるようだ。



『あの…先生…?』



 ここでようやく彩花ちゃんが違和感を感じたのか持っている懐中電灯で恐る恐るそね人影を照らす。



『先生…じゃない…?』



 そこにいたのは人の形をした真っ黒な人型の何か。どうみても人じゃない。早く逃げてと思う中、この身体が震えていることに気づく。完全に萎縮して動けなくなっている。幽霊が近づいてくるごとに心臓の鼓動が激しくなっていく。



身体が動かない。



真っ赤な瞳のような何かをつけた顔が近づいてきて首の位置へと手をのばし…



「うごけッ!!」



 喋れるようになった事に気付き、身体が動く事を理解した時には既に行動に移っていた。


 

 バク宙の要領で伸ばしてきた手を蹴り上げ身体を翻しながら体制を立て直そうとした所で視界が赤く染まった。




***




「…あれ?どうなった?」



 目を開くとそこは最初に目を覚ました教室で音楽室ではない。気になってコメントを見る。



『戦闘力高い人を刈り取るイベントかな?』『幽霊に触れてゲームオーバーからのリスポン』『初デスだな』『なぜ応戦するという選択肢が出るのか…』


「… …あっ、触れたらダメなんだった…。」



 なんとも締まらない最初のゲームオーバーだった。




***




 教室を出てnicoが校内を歩いていく。ボクは怒っていますと見れば分かる雰囲気をnicoは漂わせていた。



「もう!触れたらダメですくらい書いといてくれないかな!」


『理不尽で草』『思考が修羅のそれ』『普通戦おうなんて思わないんだよなぁ』


「はぁ、もう一度音楽室まで行かないと。」



 これはもう本格的にこのゲームに対する接し方を考え直す必要がありそうだ。前にやっていたゲームに引きづられ過ぎてる。

 幽霊は倒せない、幽霊とは戦おうとしない、このゲームはホラーゲーム、しっかり頭に刻んでおかないとどうやって攻撃しようかなんて思考に流されてしまう。



「うん、ボクは弱い。」


『なに?覚醒フラグ入った?』『なぜホラーゲームをやっていてバトル漫画のキャラのようなセリフが?』『これがnicoくおりてぃ』


「ちょっと今の自分を再認識してただけだよ。」



 今のボクは弱い。だから戦おうなんて思わない。流れていくコメントを眺めながら慣れた動きで徘徊幽霊くんを避けて校内を進んでいく。道中に出てくる徘徊幽霊くんにはライトを当て慣れた手つきで移動する。

 トロコンRTAでは嫌というほどマップ移動で行ったり来たりしたからね。もう目的地までの移動は慣れたね。何十周とするなら流石にうんざりするかもだけどまだまだ見慣れない景色だから移動も楽しいというかワクワクするね。





***超スピード!?***





「音楽室まで戻って来たけど、そもそもイベント起こるのかな?ピアノの音はしてるし…大丈夫だと思うけど。」


『大丈夫…それは大丈夫なのか?』『もう一回遊べるドン!』『信頼と安心の心折設計』



 音楽室の外だとピアノの音が前回と同じように聞こえる。ならイベントはクリアするまで繰り返し出来るようになっている事でよさそうだ。

 相変わらず電気も点いておらず外から見るとまっくらな音楽室の扉を開ける。中に入るとやっぱりというべきかピアノの音はぴたりと止んで辺りは静まり返った。



 所定の位置まで進むと身体が動かなくなって予定調和の如くイベントが始まる。



「それじゃあ色々と探っていこうか。」



 身体が動くようになったのを確認してその場から触れようと手を伸ばしてきた人型の幽霊から遠ざかるように離脱する。触れてゲームオーバーという失態はもうしないよ。

 まずこのイベントがどういう位置付けにあるのか探らないとね。時間制限でギミッククリアなのか、逃げ切りの耐久イベントか、ハイドで幽霊から隠れるのかパッと思い浮かぶのはこれくらいか。



「出入り口の扉は…開かないね。」



 すぐさま扉から離れるように転がる。リアルなら絶対痛いだろうけど此処はゲームの中なので無問題だね。

 音楽室から離脱するだけのイベントではないみたい。やっぱりこの人型の幽霊をどうにかしないといけないのかな。



 名前がないと呼びにくいね。暫定人型幽霊くんでいいかな。



「逃げる系じゃなくてギミックか条件達成系のイベントかな。」



 そのまま走りながら机の上にとび乗って人型幽霊くんとは反対方向に逃げていく。人型幽霊くんの行動パターンは見た感じ近づいて触ろうとしてくるぐらいかな。小学生にお触りしようだなんてお巡りさん案件だね。



「ライトは…あれ?一瞬ですが効いてました?」


『やっぱりVRスタントマンとかでは?』『動きがガチすぎる』『ぅゎょぅι゛ょっょぃ』



 他の幽霊と明らかに違うからライトは効かないかと思ったけど思い違いだったのかな。先入観でモノを決めるのは良くないけど、同じくらい決めつけてかかるのも良くないね。

 バトル系のゲームではないけど徘徊幽霊くんの時みたいに幽霊をどうにかする手立てはあると考えた方がよさそうだ。



「…それなら。」



 ライトを人型幽霊くんに連続して当てていく。すると形が崩れるように身体がぼやけていく。振り払うような動作の後こちらに向かって飛びかかってきた。



「よっと。」



 大ジャンプとあって避けるのは容易い。アバターの倍以上ある人型が飛びかかってくるのは十分ホラーしてるけどね。

 背後に回るように移動しながらライトの光を当て続けていく。やっぱりライトの光が効くみたいだ。少し形が崩れる演出の後にまたこちらに飛びかかってきた。



「これで3回目!……あれ?ライト点かないんだけどぉ!!」


『草』『ここに来てライトくん盛大な裏切り』『焦るnicoは可愛いなあおぃ!』


「そんな事いってる場合じゃないよ!」



 変態リスナーは置いておいて、なんどスイッチを押しても一向にライトが点かない。これはまずいと思って人型幽霊くんから距離をとる。幸いこのゲームの設定にも慣れてきた。



「とりあえずジャンプゲー!」



 壁ジャンプ、机を使った二段ジャンプと足場には困らない。ある程度プレイしてわかったのはスタミナの設定があるから走り続けることは出来ないけど滞空中はスタミナの減少が設定されていない。

 つまり走っていない時間がスタミナの回復に当てられるのでこうやって床に足をついていない時間を増やせばスタミナ切れは起こらない。



 教室の中を縦横無尽に駆けながらたぶんイベントか何かで点かなくなったライトがまた使えるようになるまで逃げ続ける。



「はやく…はやく…よし!やっと点いた!それ!!」



 3度目のライト照射を受けて人型幽霊くんの形が崩れていく。これで終わりかと思ったけど…どうやら違うようだ。



 階段で道を塞ぐようにいた大きくて真っ赤な姿の幽霊が姿を現す。第二形態というかこっちの姿が本体なのかな。



「わざわざ先生の真似をして赤信号幽霊くんがボク…というか彩花ちゃんを殺しに来た感じかな?」


『変な名前つけられて怒ったのでは?』『此奴もファン故、生のnicoを見て暴走するのも致し方無し』『幽霊は俺らだった?』


「えっ、リスナーさんたちの幽霊だったの?」



 もう一度ライトで照らしてみるけど、人型幽霊くんの時とは違ってまるで効いている様子はない。動きが鈍りすらしないし、むしろライトの光に反応して攻撃的になっているようにも見える。



「やっぱりもうライトの光じゃダメみたいだ。」



 またライトを当ててみるけど階段の所で通せんぼしていた赤信号幽霊と同じでライトは効かないようだ。同一個体と考えても良さそうだ。



「他にに何があるかな。」



 机から机に飛び乗るように移動していく。ピアノや壁、机を足場にしながら迫りくる赤信号幽霊くんを掻い潜っていく。『The value of life』のラスボスに比べたら雲泥の差だね。せめて手数を二倍くらいに増やしでもしないと擦りもしない自信がある。



 逃げながら考えを巡らす。太陽の出ていた時には確かに表に出ていなかったのは事実だろうから光は弱点であってると思う。なら足りないのは何だろか。



「ライトの光じゃ弱すぎるってこと?」



 閃いた。教室に入った時に気づくべきだったのだ。校内が暗いのもあってそれが普通だと見過ごしていた。



「そうだ!教室の電気!!全然思い浮かばなかった!」



 やっぱり逃げるのに集中していると他の事まで頭が回らないな。ライトが効かないのでより強い光が必要。つまり単純明快で教室の電気を付ければ良いだけの話だった。



「よし、これでどう?」



 赤信号幽霊くんを掻い潜りながら進み教室の電気をつける。パチンという音と共に部屋の電気が一斉に点く。

 光の奔流に包まれて尚こちらに手を伸ばすようにして赤信号幽霊くんは崩れ去っていった。これでイベントクリアかな。



「やったね!!」


『攻略おめでとう!』『さす修羅』『これは幼女の皮を被った何かですね』『戦闘系はやっぱ強いな』



電気を点けた事もありホラーゲームと思えないくらい明るい教室で一息つく。



「無事イベントクリアかな?お疲れさま!」


『やりますねぇ!』『電気にいつ気づくか割とハラハラしてたゾ』『おれのやってたホラーゲーとなんかちがう』



 コメントを見ながら教室の中を探索していく。イベントがあるだけって事はないだろうからね。色々と探していこう。



「あれ、こんなのあったかな?」



 ピアノの上に見慣れない紙切れが落ちているのが目に入った。手に取るとコレクションアイテムだったようだ。手に入れた紙切れを詳しく見てみる。



 学校の七不思議が記された紙『まよなかの音楽室ではピアノがひとりでになりだす。かれらがよんでる。ぜったいにちかずかないで。』と書かれている。



「近寄らないでだって。もうちょっと早く知らせて欲しかったね。」


『時すでにお寿司』『音楽室には近寄らないヨシッ!』『いあ いあ』



七不思議ってことは後6つあるのかな。



「他に七不思議って何があるのかな?」


『トイレの花子さんとか?』『学校に夜な夜な修羅が徘徊する、これってトリビアになりませんか!』『今時って七不思議とかあるのか?』『歩く二宮金次郎もそうだっけ』


「学校によっては結構違ってそうですね。...これは総当たりしていくしかなさそうかな。」



 コメントを読みながら次に行く場所を悩む。とあるコメントが目についた。



「七不思議イベントはサブイベント?あっ、コメントありがとね。それなら絶対にやらなくちゃいけない訳でもないのかな。」


『有識者ニキナイス!もう帰っていいぞ!』『メインイベントならナビゲートあるで』『全部のイベント見て欲しい気持ちはある』


「うーん、探すだけ探してみるね。ただ闇雲に行っても効率が悪そうだし情報収集を先にやりたいな。」



 教室を歩き回りながアイテムが落ちてないか見ていく。



「あっ、このリコーダーはアイテム判定だね。」



 机から飛び出すように顔を覗かせていたリコーダーを手に取って調べてみるとやっぱりコレクションアイテムのようだ。



「こういうの見るとちょっと懐かしいね。」


『nicoの使用済みリコーダーならいい値で買います』『お巡りさんこっちです』『いい訳は署で聞こう。その間、物品は私が預かる』


「...ボクの使ったリコーダーなんて買ってどうするのさ。」



 七不思議のようなイベントであっても、ゲームにイベントとして用意されている以上はそういったフラグも事前に手に入る場所があるんじゃないかと製作者側のメタ視点を予想する。あるとしたら図書室が一番ありそうかな。



「よし、他にアイテムも無さそうなので次は図書室に行くね。もしかしたら他のイベントについての情報もありそうだし。」


『あっ』『真夜中の図書室何も起こらない筈もなく』『やったぜ!』


「図書室にも何かあるの?あっ、言わなくていいからね。」



 何やら不穏なコメント欄を眺めながら情報を探すために図書室へ。











簡単補足

基本的に特別教室(理科室、家庭科室、etc)にはだいたいイベントがあります。ゲームなので何処を探索してもイベントに当たる心折設計。


nico in 音楽室

『見えない恐怖』も怖いですが、『見える恐怖』も怖いですよね。


幽霊(大)

明確な恨み辛みが重なってできたもの。正のものに吸い寄せられるのではなく、明確な悪意をもって襲い来る。ただの光ではもはや退けることは叶わないだろう。


VRゲーム

どれだけ現実と割り切ってプレイ出来るかが重要。ゲームだからって前転するのが恥ずかしい?羞恥心は捨てましょう。


戦闘中コメントが少ない理由

単純にnicoの視界に入ってないから。


音楽室ボスエネミー

人型状態の時は教室の電気を付けても消滅しません。何故なら"幽霊"としての存在より"人"というか"先生"として概念が表にあるから"教室の電気"は有効打足りえない。ただし電気を消すモーションが優先されるのでその間にライトを当てるのが一般的な攻略法。nicoくん気づいて...。


『わすれもの』難易度

難易度は高くはない。極力PSによる積みポイントは作らないように設計されてます。びっくりしながら騒ぎながらプレイできるゲームです。

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