第3話 大変申し訳ございませんでした。

「ステファニー様、お目覚めのお時間です。」


声が聞こえて、暗かった視界に明るい光が差した。

眩しくて顔を背ける。そして飛び起きる。


「あら、本日はすんなりお目覚めなのですね?」


「だ、だ、だ、だれ…!?!?!?」


私の名前は、美空という。ヒバリじゃないよ。歌はそこそこ上手いけど。

じゃなくて、ステファニーなんて、ふんわりした名前じゃないのだ。

そして、部屋に入ってきた誰か。よく見るとメイドさんの格好?メガネで隠れてるけど頭が良さそうな美人だ。

その美人さんが、すごく難しそうな顔をしてこっち見てる。


「ステファニー様…?どうかなされたのですか?私はアンですよ?

もう熱はないと医者は言っていましたが…やはりまだお加減が…?」


お加減も湯加減もあるか!いきなり人の部屋に入ってきてなんなのよ!…ってあれ?私の部屋じゃない!?ここどこ!?


よく見ると、自分のベッドだと思ってたのは、派手な装飾と派手なピンクのカーテンがかかったダブルベッドだった。

しかもベッドから見える景色が全然違う。

さっきアンさんがカーテン開けたから光が窓から入ってきてて、めっちゃ分かるんだけど、めっちゃピンクの部屋。

正直私の趣味じゃない。ロリロリロリータって感じ。


キョロキョロしてると、頭も重い気がする。てか髪の毛。私の髪こんなに長くなかったんだけど?と、よく見ると金髪だった。

日の光でキラキラしてる。ヅラかな?ってくらいツヤツヤ。

コスプレの趣味もないのだけど…と髪を引っ張るも、すぐに痛みがあってやめた。これは、生えている…!?


鏡を探してベッドから降りようとした。

すぐにアンさんが駆け寄ってきて、スリッパを差し出す。

え?履けと?絨毯フッカフカしてそうだけど…。

ちょっと考えてアンさんが土足だったので、ありがたくスリッパを履いた。


というか、自分の手足こんなに小さかったかしら?流石のトリ頭の私でも違和感がバシバシしてる。

なんか、最近友達から聞いた話でこんなのあったな。異世界転生?だっけ?

とりあえず鏡を見て確認したい。自分の姿を。


アンさんが、心配そうにこっち見てるけど、私は無視して鏡を目指した。割とすぐ近くに全身鏡があった。そっちもロリロリロリータな装飾だわ。なんなのこの趣味。


全身鏡の前に立った私は頭が真っ白になった。

目の前にいるのは、私じゃない。でも私の意思で動かした手が、目の前でも鏡合わせで動く。


目が覚めたら幼女でした!

(しかも金髪の青い眼の人形みたいなロリロリロリータ!)


「ステファニー様…?」


「ど、どういうことだってばよ…」


そのまま私は倒れた。

そして、次に目が覚めると、普段の平凡な私だった。

自分の硬いベッドがこんなに安心できるとは!

夢オチか?良くできた夢だったなー。


しかし、視界に『異世界お問い合わせセンター』なるアイコンがチラ見えする。

こんなのは今まで無かった事だ。幻覚か?そんなに疲れてたか?


恐る恐るアイコンに触る。途端に手元に半透明のタブレットのようなものが出た。

びっくりしつつ画面の文字を触ると入力される。

なんだこれと思いながら、とりあえず「?」と打ち込んだ。

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