第3話
「ということでございますが、よろしいでしょうか?勇者様、聖女様」
と皇帝様の付き人のおっさんは説明を終えた。
彼の説明はこの世界についてのことであった。
この世界には魔法は存在していて、属性は火、水、土、光、闇の全部で5種類。ここはよく俺が読んでいたものと同じである。しかし、俺が読んできて、憧れた異世界とはかなり異なるようだ。異世界と言われると中世のヨーロッパのような世界観を思い出すと思うんだが、ここはかなり異なるようなのだ。なんと、ほぼ俺たちがいた日本のような暮らしができるようなのだ。魔法によって、高度な文明を築けるようになっていたのだ。俺たちが持っているスマートフォンはもう存在しており、光魔法で充電することができるらしい。なんだよ、現代的な知識を様々なことに用いて、俺TUEEEEするのに憧れてたのに、それができねぇじゃねえかよ。ふざけるなよ。
でもさ、おかしい点が1つだけ出来てくるんだよな。
それは琉愛も思ったのか、
「あの、すみません、こんなに高度な技術が発展しているのであれば、やっぱり、私たちを召喚する必要がなかったのではないでしょうか?」
そう、琉愛の言うとおりだ。その疑問が生まれる。
こんなに発展していれば、魔王を倒せるような兵器は出来ているはずなのだ。それなのに、なぜ、琉愛と俺を召喚しなければならなかったのか。別に召喚しなくても倒せたのではないかと俺も思うのだ。
しかし、その琉愛の質問に慌てる様子もなく、淡々とその付き人のおっさんは答えた。
「はい、そう思われると思っておりました。確かにそのような兵器は存在します。しかし、今現在、そちらの世界と同じように多くの犠牲が起こるような争いをできるだけ避けるように条約を締結しているんです。争いごとが起こる場合はスポーツによって決めるとなったのです」
ん?えーっと。どういうことだ?スポーツ?
「……つまり、魔王が降臨するときは大体争いが起こっているから、その争いのために備えるために、あらかじめ、魔王降臨の約1年前から私たちを召喚したということですか?」
「魔王が最後に降臨したのが、およそ1000年も前の話になるので、書物でしかわからないのですが、大抵、多くの死傷者を出して、その争いは一応魔王が倒されたという結末で終わったと書かれておりました。現在の魔族の国のトップであるリサ様が魔王様に説得させることができれば、争いが起こらないことも考えられるのですが、リサ様も絶対という自信がお持ちになれなくて、一応、準備はしておいてほしいと言われましたので、召喚した次第でございます」
ふーん、なるほどな。確かに一応魔王は魔族の王だから、その他の種族である人間に戦いを挑むことは別におかしい話ではないか。
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ん?てか、魔族の国?そのトップ?てか、そもそも、スポーツってなんだよ(2回目)
「てか、魔族の国のトップとお話はできるんですか?」
「ええ、まあ。左様でございます」
「その方で止めることは無理なんですか?」
「いえ、それが一番の方法だと思っているのですが、それが失敗してしまった場合に備えてのもしもの勇者様と聖女様なんです」
なるほど、俺たちが最後の砦みたいなものなんだな?それより、スポーツって?(3回目)
「そもそも、スポーツで決着をつけるとおっしゃっていましたが、魔王がその約束を破るという考えはないんですか?」
琉愛がそう聞いた。
すると、それも来ると思ってましたよと言いながら、次のようにおっさんは言った。
「その可能性は0%です。その条約を破ったものはたとえ、皇帝陛下でも魔王でも、神からの怒りの稲妻が降り注ぎ、その者は即死するという条約にいたしましたので」
絶句してしまった。なんだ、そんな怖い条約は。条約というより、それはもうなんか違うものな気がする……。
「なるほど、だからなんですね」
いやいやいやいや、琉愛?冷静過ぎない?そんな、冷静に受け入れられるもの?早すぎない?
「それで、そのスポーツって何なんですか?」
「えーっと、そちらの世界で言うオリンピックの競技全てです」
「となると、33競技339種目なんですね」
え?そんな多いの?てか、琉愛よくそんなこと覚えてるな。すごっ。
「いえ、339種目ではないんです。164種目なんです」
ん?なんで約半分?
「あ、このこと言ってませんでしたね。」
ん?どうゆうことだ?
「この大会は絶対に男子禁制なんです」
は?なんで?
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