第941話 領軍魔法使い

「皆、相談に乗って欲しい」

ハリーがサラ、ローデット、ティアーヌ達を集めて話をする。

「領軍に元々いた10人ほどの魔法使い達の扱いだ。それと、ドラセム家の領軍になったことから、魔法習得の期待を持っている者もちらほらいるみたいで」

「魔法の育成方法は国家の秘密、ただしサラの仲間であるドラセム家の者に適用するのは問題なし。寄子も許可範囲。しかし、領軍という規模にまで範囲を広げていいのだろうか、とお考えなのですね」

「さすがローデット、ありがとう」

「ねぇローデット、普通の領では魔法使いは領軍でどんな扱いなのかな」

「普通は魔法使いの数が少ないので、領都に集約して単独に訓練することが多いですが、その指導が出来ないところなどでは、街ごとにもバラバラと配属されてうまく運用できていないところもあります」

「攻撃魔法の使い手は居なくても剣や弓などの攻撃手段はたくさんありますが、回復魔法の使い手が居ないと回復薬という代替をしっかり配備しないと領軍だけでなく領民が困りますね」

「ティアーヌ様がおっしゃる通りです。たが、魔法使いも潤沢ではない、回復薬も魔法回復薬のように直ぐに効果が出るものは高いので一般の回復薬を配備するのが普通の領地運営です。ドラセム家のように回復ができる魔法使いや魔法回復薬が潤沢というのは非常に贅沢な話です」

「なら、その贅沢なのに領都のみに集約していると不満が出るということかな。少なくとも魔法回復薬はしっかり配布しておこうね」


「で、領軍の魔法使いだけど、どうしようか?回復魔法は領地の神官たちにも教えているし、そこから広まる可能性も言い出したら切りがないから、領軍も許可範囲にする?」

「適性のありそうな人だけに絞ってはいかがでしょうか。武技のためにも魔力操作の指導をしますので、それが上手そうな者のうち、記憶力も良さそうな者を選別するなど」

「そうね、いったんはそうしようか。元の10人ほどと、追加の希望者には触媒やスクロールを使った習得方法も許可して、いったんは領都に集約して面倒をみる。街や村には魔物狩り等の訓練でも巡回はして、急ぎで必要なことがあれば水精霊シルビーの連絡で駆けつける、で良いんじゃないかな」

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