第883話 ターフルダ侯爵領洞窟

≪飛翔≫して洞窟に向かったところ、先行していた部隊と無事に合流できた。木々も生えた小山の岩場の陰に洞窟の入り口があるようで、先に聞いて存在を知らなければ簡単には気づけない場所である。

しかし小山の端には小さな屋敷がある。馬車もあり洞窟への搬入はここから徒歩と想定される。


風魔法≪集音≫を用いても屋敷からは物音もしないので、洞窟に集結しているのかと想定される。

領都に≪転移≫して、目付部隊と共に≪飛翔≫できなかった残りメンバを連れてくる。数が多い目付部隊には小山と屋敷を取り囲み、逃げ道を無くしておいて貰う。また面通しのために連れて来ていた元帝国軍人の第1騎士隊や元悪魔教団の魔術師団員のほとんども周囲の取り囲みに参加させ、洞窟内にはサラの冒険パーティー6人と元暗殺者ギルドであった魔術師団員を中心とした少人数で向かう。


その上でサラ達は洞窟の入り口から、竜牙兵を何体も前面にして侵入していく。

「スケルトンですか?死霊魔法ですか?」

「いえ全く別物の、ドラゴンの牙や歯から作るゴーレムみたいな物です」

目付たちに驚かれるが、念のために補足しておく。


洞窟は入るとすぐに広間があり4人の黒ローブの魔法使いが待ち構えていたが、中級以下の魔法使いであったようで、サラ達の数による力押しで簡単に拘束でき装備を没収した上で≪睡眠≫をかけておく。

その先は二手に分かれたが、それぞれに進むのではなく留守番を残して、細い方の通路のほうだけ先に確認しに行く。細い方の通路の行き止まりには牢屋のような檻があるだけで、糞尿の処理も甘いのか悪臭が漂っている。

「くっせー!お願い、みんな≪洗浄≫してくれー!」

ハリーの要望がある前から皆で≪洗浄≫を大量発動した後は、風精霊ジョステルとエムメエルを≪召喚≫して空気の入れ替えも気持ち的に行うのに合わせて、隠し通路などの隙間が無いことを確認する。

「転がっていた器などを見ると、動物ではなく人を捕えていた感じだね」

「何か悪い予感しかしないよな・・・」

皆の気分が落ちたまま、元の通路に戻る。

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