第854話 ハリー20歳

ミスリル短剣が完成してすぐに、ハリーの20歳の誕生日が来る。

侯爵家の第1の家臣、従士長のきりの良い誕生日であり、ドラセム家の関係者が揃って祝うパーティーが、代官地の邸宅の庭にて盛大に行われる。


王都内にある本宅や付近の店舗、孤児院からも、代官地から騎士団員たちも参加している。代官地護衛隊は業務もあるので交代で参加し、お祝いの言葉をハリーに伝えると共に美味しい料理を味わっていく。


孤児院の子供たちからのお祝いの言葉も終わり佳境になった頃に、誕生日プレゼントのタイミングになる。まずは妹であるリリーから。

「ハリー、20歳の誕生日おめでとう!」

「ありがとう!昔が懐かしいな。誕生日と言っても冒険パーティーのメンバ同士が装備を強化するきっかけになって。リリーの場合は、皆に革装備を配るタイミングだったよな」

「私たちがサラと出会って10年になるのね。ま、今回も私からのプレゼントはご期待通り皮革製品よ。正装でも似合うと思う白手袋ね」

「正装なんてかたっ苦しいんだが、そうも言えないときがあるよな。ありがとう!」

そして、ドワーフであるカーヤから。

「ハリー、おめでとう。私も鍛冶製品よ。実際に使用する武器は≪炎≫魔剣等があるから、自室にでも飾って貰うためかな。装飾いっぱいの両手剣よ」

「おぉこれは男心をくすぐる!流石カーヤ、ありがとう!」


主だった仲間たちからのプレゼントが終わった最後のトリがサラからである。

「ハリー、いつもありがとうね。前から欲しがっていた物よ」

「え、何だろう?珍しい香辛料か、珍しい魔物の肉か?」

「違うわよ!本当、料理のことばかりね。はい、これよ」

「え!これは!」

「そうですよ、ハリー様。サラ様が魔力を込めて鍛えられたミスリル短剣です。さらに、自ら≪帰還≫も刻まれた魔道具になっていますよ」

ティアーヌが横から補足するも、ハリーは喜びのあまりしばらく固まっていたが、

「サラ!!!ありがとう!!!」

とサラに抱きついてしまい、我に返った2人の顔が赤くなるのを周りが生暖かい目で見守るのであった。

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