第850話 海賊拠点襲撃後

サラは従士団のメンバをコルマノン王都ワーズや代官地に連れ帰るのと合わせて、宰相ジョエリーに状況報告だけはしておく。

「流石の早期解決であるな。しっかり報酬はせしめておくのだぞ。先般の帝国での悪魔教団壊滅と同様に自浄作用が効いたという体にしてやるのだから、協力した冒険者報酬は十分にな」

「かしこまりました。何か魔導書でもあれば良いのですが」

「うーん、それは。魔法後進国だからあまり期待してやるなよ。あと、モンブール付近に海賊の残党が居ないかはしばらく継続調査を頼むな。拠点が無くなったことを知らずに海賊行為をしている可能性もあるし、関係ない海賊の便乗もありえるからな」


ドラセム商会とミケラルド商会の商船、その護衛業務はしばらく続けることにする。昨夜に捕獲した海賊たちから聞いたガレー船・帆船の総数と鹵獲・焼失した数を踏まえると残りは居ないはずであるが、宰相のいう便乗海賊たちの可能性もあるからである。


その間にアルテーラ海軍による捕虜の尋問等と並行して、サラへの報酬の検討がなされていた。あくまでもダニエーレ王子、タカマーノ経由による冒険者クランへの依頼であったことになっているので、ダニエーレ王子の屋敷に呼び出される。

「しっかりと活躍してくれたようだな。これでわが陸軍閥としても海軍閥に貸しができたので、先日の神国での活躍も合わせて、陸軍閥が胸を張れるようになってきたぞ。感謝する」

「王子の仰るように、ドワーフやエルフの品に始まり、本当にサラ様のお陰です。ありがとうございます。まぁ国家としては海軍力が下がってしまったことで、コルマノン王国の海軍の力が相対的に向上したので好ましくは無いのですが、悪い膿は全体が腐る前に出した方が良いので」

「ミスリルの武器でも貰えるようになったのかな?」

以前の経緯も踏まえてハリーが半分本気で冗談を言ってみる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る