女侯爵サラ
第789話 動揺
コルマノン王国が主催した凱旋パレードが終わり、本宅に戻ったサラたち。
帰国の報告と、侯爵への陞爵など報告することもたくさんあるので、久しぶりに皆で食事をすることにする。
一部にはまだわだかまりのある者を除いてダークエルフも参加する。
ヴァーヴ侯爵領の領都サイユに居る師匠のエミリー、同じくヴァーヴ侯爵領の辺境に居る父レオンと兄のダンとジンたちは≪転移≫で呼び寄せる。
「詳しいことは分かっていないけど、王様の親戚である公爵を除くと、最上位の爵位ってヤツだよな、侯爵って」
「あぁ、そうだよな」
「おいサラ、早く結婚して子供をつくれ。冒険ばっかり危ないことしていないで。死んでしまったら、俺たちはそんなものを引き継げないからな!」
色々な騒動で現実逃避をしていたのに、兄たちの余計な発言が国王の発言を思い出させて、サラが動揺して挙動不審になる。
「おい、いったいどうしたんだ?」
「実は・・・」
王城での出来事を、その場に一緒に居たティアーヌが皆にこっそりと共有する。
「へぇー」
「ほぉー」
「なるほどねぇ」
サラの父兄、ハリーの妹であるリリーも含めて周りの視線が生あたたかい。サラの師匠のエミリーと、王都での隣人のカーラもニヤニヤとしている。
「師匠もカーラさんも結婚していないでしょう!」
サラは、美人の大人なのに未婚である2人に対して爆弾を落としてしまい、その会場の温度を急激に下げてしまう。
こういうときに空気を溶かすはずのハリー自身が噂の片割れで役に立たずに、非常に寒い雰囲気を引きずっているところに、地頭は良くてもまだ空気を読めない孤児たちが
「サラ様とハリー様が結婚するの?」
と無邪気に発言するので取り返しがつかない。
しかたなく、家宰のローデットが閉会に持ち込むことになった。
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