第739話 神国幹部混乱2

その混乱の最中に、コルマノン王国の使節団が宰相も参加しての会談を申し出て来た。宰相はコルマノン王国に居るのでは?という疑問もあるなか、ロージアンに関する危急の知らせを与えてくれた使節団の話を無下にするわけにもいかないため、申し出を受けることになった。


「早速ですが、私が本当に海の向こうの大陸からやって来た宰相であるかを懸念されていると思います。ただ、もともとどうやってロージアンの状況を即時にお伝えできたのかお考え下さい」

「情報だけでなく人物を遠隔地に飛ばす方法があるというのですか!?」

「その通りです。私自身も魔法に関して詳しいわけではありませんが、空間魔法の一種とお伝えすれば、教団幹部である皆様にはご理解いただけるのかもしれないですね」

「コルマノン王国はそんなに魔法先進国だったのか?」

「いや、最近のコルマノン王国には特異人物が居るではないか!」

「確かにレーベルク帝国との関係においても・・・」

「さよう、アルメルス神国から暗殺団を送り込まれたサラ・ドラセム伯爵です。もちろんご存知のように暗殺者たちは返り討ちにあっておりますが」

「それは使節団からの虚言として承っておりますが・・・」

「この期に及んで、まだそのようなことをおっしゃいますか!?」

「ヒィ!」

「ロージアンの危急を知らせたのも、その直前の城壁の防衛を行ったのもそのドラセム伯爵であるのですぞ!まず誠意ある謝罪を頂戴した後、魔物たちへの対策を相談させて頂きたい」

「そのようなことを認めるわけには・・・」

「つまらない見栄やたくらみのために自国民を危険にさらすというのですか!?それがデメテル神様の教えなのですか!?」

「ぐっ・・・」


「宰相殿。おっしゃる通りです。まずサラ・ドラセム伯爵への諸々についてお詫びいたします」

「教皇!そのようなことをされてはなりませぬ!」

「黙れ!我々は反省をせねばならぬ。教団の見栄のために今まで国民に苦労をかけていたこともだ。今度はその国民の命をかけてまで見栄を守るのは本末転倒である。この国は、魔物から弱い国民を守るために教団が立ち上がったのだ。それを忘れてはならぬ」

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