第726話 辺境都市ロージアン3

「私は冒険者のトリストフと申します。あなたがこの城壁の指揮官でよろしいでしょうか」

「はい、指揮官のランシリルと申します。ご助力、誠にありがとうございました。あなた方は豊穣の女神デメテル様のお使いでしょうか?」

「いや、そんな恐れ多い。単なる冒険者です。修練のためあちこちを旅している者にございます」

「そうでしたか。でしたら、なおさらご助力のお礼をさせていただきたく存じます。あちらの辺境都市ロージアンまでご案内させてください」


戦闘している間に、ハリーが馬たちをつれて城壁の北側まで来ていたのでこっそりと状況を共有し、ロージアンまで指揮官の案内に従ってトリストフを先頭に移動する。

サラやハリーなどのパーティーは名前が知られている可能性もあるため、トリストフたちの奴隷であり冒険者証も取得していないことにして、ロージアンの街に入る。

「ずいぶんと戦闘力もあり装備も充実した奴隷ですね」

「ありがとうございます。ここまで育て上げるのには苦労しました」

「なんとトリストフ様のご指導でしたか。大変不躾ですが、この辺境では戦力があり過ぎて困ることはありませんので、お譲りいただくことはできないでしょうか」

「いやいや、申し訳ありませんが・・・」

「そうですよね、ここまでさせる苦労を思えば。大変失礼しました」


トリストフたちが案内されたのは、ロージアンの中心地、デメテル神殿の近くの立派な屋敷であった。迎賓館としても使用されているのだと想像される。

そのまま、トリストフとカロルがこの集団の主である夫婦、ティアーヌは筆頭奴隷で、それ以外の10代のメンバも全て奴隷という体にしたため、トリストフとカロルだけが指揮官に案内されて行くことになった。

もちろん敵地であるわけであり、何があるか分からないので、念のために天使マルカルロを透明にして≪召喚≫して2人に付き添わせる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る