第714話 ガーライト王国海賊3
海賊行為をしてきた3隻でも、主に燃えていたのは甲板でありそこに居た戦闘員であったので、途中からの消火活動により、沈没の心配は無くなった模様である。
ただこの後の扱いは悩ましい。
3隻も曳航するほどの力は、自分たち2隻には無いため、自力で陸地に向かって貰う必要がある。また、海賊行為への防衛のためとはいえ、海軍扱いの船に攻撃したのであり、行き違いがあればトラブルになることが懸念される。
まず、先ほどは効果が無かった風精霊ジョステルを用いた大声での武装解除を試してみると、彼我の力の差が分かったのか、甲板で見えていた動ける限りの戦闘員たちは、指示に従い武器を手放した。3隻ともである。
最後の悪あがき、罠もあり得るため、≪飛翔≫で上空から複数人で監視しながら、武器だけ先に回収した上で、怪我を≪回復≫させながら捕縛していく。魔法使いなど体力が少なかった、もしくは運が悪かった者たちは火魔法により死亡していたようであり、それらの死体は腐るのを避けるため魔法の袋にしまっておく。
いったん甲板での扱いが終われば、船室も慎重に確認しに行くが、隠れている者はおらず、最下層でオールを漕いでいた奴隷たちだけが残っていた。
近づいたサラたちは臭いに顔をしかめるが、それぞれ水精霊シルビーにも指示して手分けして≪洗浄≫を奴隷たち、船自体にもかけて行く。
「いっそ、大波で船内を洗ってしまいたい」
シルビーの発言もわかるが、何か大事な物が一緒に流れ出て行く懸念もあるので、手間はかかる手段を継続する。
その後は、ミケラルド商会の船員、もと密航船の船員、サラの仲間たちも海賊の3隻に分散して乗船し、港町に向かうことにする。増えてしまった人数分の食料は、海賊の3隻にあったもので何とか賄うことにして、合計5隻になった船団で何とか移動する。
外から見るとガレー船3隻が護衛に着いた帆船2隻であり、他の海賊たちからの襲撃はその後なくなったので、単に3隻を沈めてしまうより良かったのかもしれないと思いながら、港町へ急ぐ。
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