第633話 被粛清者

「誰のせいで粛清されたと思っているのだ!」

と怒って来るが、そもそもが自分のせいであることを棚上げにしているとは言う気にもならず、ため息で待ち構えるサラたち。


海軍だった者と思われる者たちから大量の矢が放たれてくるが、≪風盾≫≪強風≫などで全く被害を受けることは無い。

焦った相手は数に任せて力押ししてこようとするが、新たに召喚できるようになった土精霊ペクトーンによる≪泥沼≫により、真ん中の集団は腰まで埋まってしまって進めなくなる。両端の集団は≪氷結≫やその範囲魔法である≪霧氷≫で行動不能になる。


50人規模で居た味方の半数以上が戦闘不能になり焦りだした指揮官と、帝国軍人たちは、あれを出せ、と黒ローブたちに指示を出す。

「魂は貰いますよ」

と一人が答えて、戦闘不能になった味方3人の首を切った上で、悪魔魔法系統の魔法陣を出現させて呪文を唱える。

頭に角が生えた真っ黒な筋骨隆々の男のような者が宙に浮く。


姿は消しつつ≪召喚≫していた悪魔ストラデルに念話で聞くと

『ふむ。中級になりたて程度の悪魔であろうな。強化された我よりかなり格下であるな』

との返事がある。

『あれって奪えるものなの?』

『陣を入手して真名を吐かせると可能だが、我が得る魂が減るのは許さんぞ』

『うーん』


魔法が使える元暗殺者であるトリストフとカロルたちに、こっそり敵の裏手にまわらせることにし、ミーナ、アルベール、リリアナには≪氷壁≫などで敵の行動範囲に制約を作らせ、ペクトーンに≪泥沼≫での拘束を継続させる。

元暗殺者でも騎兵であるディディエたちとハリーは魔剣を取り出し、敵集団の正面に進む素振りで挑発を行う。

サラとティアーヌは≪飛翔≫で敵集団の上空を飛ぶことでかく乱しながら、≪霧氷≫や≪爆雷≫で敵を行動不能にしていく。

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