第627話 エルフ村特産

ハリーはダニエーレ王子に対して、いったん保留にするから翌日再度タカマーノ邸で会うことを約束させて分かれる。


そして宿に戻ったハリーは、サラとティアーヌに相談する。

「あの王子、色々と嫌な奴だが理解できるところはある。コルマノン王国へ海賊騒ぎをした海軍閥を王太子にするのも避けたいし、協力してやれないかな」

「そうね。いったいエルフ村の貴重な物って何かしら?」

「あのガレー船に対抗するのですから、単なる交易品の弓や薬品程度では無いでしょうし」

「エルフ村の村長に相談しに行きましょうか」

「はい」

サラとティアーヌは転移でエルフ村に行き、急いで村長に面会を申し込む。


「これはドラセム様。いつもお世話になっております」

と村長が丁寧な挨拶をしようとするので止めて、

「アルテーラ王国の王子から何か交易の話が来ていますか?」

「いえ、王子どころかアルテーラ王国に関係しそうな話は全くありませんが」

「え?どういうことかしら・・・まぁそれは置いておいて。村長、何か分けて貰えるエルフ村らしい貴重な品って無いでしょうか?」

「ドラセム様のお望みでしたら、ティアーヌが使用している魔弓より性能は劣りますが、エルフらしく見える魔弓でしたらあります」

と、色々な魔法陣らしきものが刻まれた弓を出してくる。

「おいくらで分けて貰えますか?」

「ドラセム様にならタダで良いです」

そういうわけには、とティアーヌに相談した金額を渡しつつしっかりお礼を伝える。


ティアーヌの帰省でもあるので一晩の宿は言葉に甘えつつ、サラ自身は近くの実家に飛んで行きそれぞれ故郷で一泊する。

その夜のうちに、水精霊シルビー経由で宰相に経緯を報告しつつ相談すると

「コルマノン王国としても穏健派の第1王子が王太子、そして国王となる方が、政治的に安定して自国の経済発展が期待できるのでありがたい」

との返事を貰っておいて、アルテーラ王国の王都ゴルガに戻る。

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