第432話 捕虜売却
サラたちは代官に頼まれて、国境近くまで捕虜の輸送を手伝うことになった。輸送とは言いつつ、強引に奪還に来る可能性への護衛でもある。
また、確保できた帝国軍の遺体からの遺品も、遺族が買い取りに来た場合に売却するためそれも輸送対象である。
最後の平原衝突では数千人の捕虜ができたこともあり、それへの食糧問題もあった。街に残っていた兵糧を使いながら、帝国本陣で燃える前に回収できた兵糧も使う。
あくまで一般兵士であるため武器を取り上げるとあまり戦力にならないため、食事の手配等は自分たちにも手伝わせながら移動する。
武具も捕虜引き取り時に売却するため、取り上げるのは武器だけにして防具は本人に着用して運ばせている。買い取りを希望しない者の武具は、ロワイヤンの街に置いて行く。
サラにすると武具の≪鑑定≫の良い機会であり、商人がいくらと値付けするのかも良い勉強になるので、リリーと一緒にできるだけ武器商人の近くで行動を行うようにしていた。
捕虜が全員徒歩のため国境まで1週間ほどかかったが、無事にたどり着く。途中で、帝国軍が負けたことに気付かずに兵糧を運んで来ていた部隊に複数出くわしたので、ありがたく徴収して、追加の兵糧にさせて貰った。
国境の川に到着してその手前に仮陣地を構築し、ある意味、捕虜と武器の商店のようなものを準備する。陣地の構築は兵士たちの必修業務であるため、それほどの苦労はせずに済む。
先触れで帝国側に周知をしていたからか、お金や食料を持って待ち構えていた家族などが居た。
お金を払ってでも抱き合って無事を喜ぶ家族を見ると少しホッとするサラたちであった。一般兵士たちにすると国家間の侵略行為も上からの指示に従っただけなのであるが、戦場で仏心を出した者は逆に自分の命が無くなるのでお互い様であるが、いったん戦争が終結した後は1人でも家族のもとに帰らせることができるのはありがたい。
帝国も広いが、流石に侵攻軍にはある程度国境に近いエリアからの徴兵が主であるはずであり、国境での捕虜や武具の売却は、事前周知のように1ヶ月ほどで終了した。残った捕虜200人ほどは奴隷商人を呼んで戦争奴隷として売却して連れて行かせることで、残った武具や兵糧はサラたちが魔法の袋に回収して、ロワイヤンの街に帰ることにした。
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