第420話 ロワイヤン軍議

サラたちが兵糧を強奪してきたことを踏まえて、ロワイヤンの代官たちは軍議を行う。

「帝国軍は、我々の兵糧切れを狙っていたと思われる。ドラセム殿が搬入した際も、荷馬車を城門から、ではなかったので、先発の増援部隊の人数を踏まえると、そのうち兵糧切れになるはずが、なかなか飢えた様子にならないと思っているはず」

「しかり。1万人規模ではこの街を落として停戦する見込みだったのであろう」

「しかし、ドラセム殿が帝国軍1万人の12日分の兵糧を奪ったことから、街の住民と王国軍でも10日以上持つと計算するだろう。逆に帝国軍は兵糧不足におびえることになる」

「いや、帝国軍が本陣に10日分以上の兵糧があれば、あと10日ほどで街が飢えるのを待つと考えるかもしれない。最初のドラセム殿の搬入を知らなければ、兵糧を強奪するのは切羽詰まったからと」

「しばしお待ちを。ドラセム殿が強奪した兵糧の中に大量の水があったのをご認識か。今平原に陣を構える帝国軍は、食料だけでなく飲料が不足しているのではないであろうか」

「確かに我々は街の中に井戸がいくつもあるが、平原の近くには川も池もない」

「では、雨が降らなければ帝国軍は飢えよりも渇きで撤退するかもしれないな」

「まずは10日ほどしのげば光明が見えるのか」


ここでサラたちが質問をする。

「平原の王国軍の水はどうするのですか?」

「自国であるので、この街より西の街などから輜重(しちょう)で運び込める」

「それを狙われないのでしょうか。また井戸はロワイヤンの街の外にも無いのですか?」

「もちろん、砦や村にはある。だが、1万人を賄えるほどではない」

「夜にでも砦を見回ってもいいでしょうか」

「お願いできるなら。また平原の王国軍には、帝国軍の水不足の可能性を注意喚起しておく」



サラたちは無人になった砦の井戸が狙われると推測をつけ、それらを夜に巡回する。もともとサラたちが帝国軍を何度も殲滅したところでもあるため道も分かり、戦馬バトルホースたちとまわると一晩にいくつも見ることができる。

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