第382話 銀坑道

カーヤの両親がワチエの街に出立した頃、冒険者ギルドでは精霊の棲家(すみか)と思われる場所の情報も報告がなく、平穏な日常が過ぎていた。


とは言うものの、サラは魔法戦闘の授業で学校長からほぼ個別指導を受けており、リリーは学校では魔法の学習や訓練をして午後には皮革作業、カーヤも上級になっても引き続き鍛冶による生産作業、ハリーとミーナはアルベールとリリアナの兄妹の育成で王都ダンジョンの繰り返し、と暇ではなかった。

サラも平日午後は魔法回復薬の調合、スクロール作成、カーヤのための鉄精製と魔法の訓練に明け暮れていた。


週末の2日の王都ダンジョン攻略は、互いの都合をつけて、留守番のアルベールとリリアナ以外の5人で少しずつ継続していた。

そのおかげで、何とか33階の雪山エリアをクリアすることができ、今は34階の銀鉱石の坑道に挑戦している。このエリアに出現する魔物は、ハイオークファイター、ハイオークアーチャー、ハイオークメイジであり、特にメイジが魔法を使用してくるのでなかなかの難敵であるものの、≪結界≫や≪魔法消滅≫も習得した上に≪召喚≫が水精霊・火精霊・天使・悪魔の4体同時も可能になったサラには問題では無かった。

先を急ぐわけでもないので、サラの魔法戦闘の訓練かねがね、採掘ができるハリー、カーヤ、ミーナは採掘を行い、リリーは自身の魔法訓練をするという役割分担をして、攻略を進めている。

銀鉱石は精製までは行うが、銀武器はそれほど需要が無いので、基本的には銀インゴットにして売却することで資金作りに貢献している。銀インゴットほどでは無いが、ハイオークの肉、装備品でもそれなりの売却益を得ることができている。


33階の宝箱は、雪男の毛皮ベースなのか白いローブであった。サラの鑑定でも≪魔法防御力向上≫であったが、カーラに確認してもその通りであった。ダンジョン攻略など日ごろは≪防御力向上≫のローブを装備し、学校対抗戦など魔法戦闘の場合にはこの≪魔法防御力向上≫のローブを装備することになった。

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