第312話 魔術学校初授業2

魔法訓練場で6属性それぞれの実演を行うことになったAクラスの15人。

「名前を呼んだ順に、発動魔法を宣言してから発動するように」

というクラス担任のガリレード。


最初に呼ばれたのは、昨日の帰り際に一言あった侯爵?令嬢の取り巻き女子。彼女は、≪火球≫、≪そよ風≫、≪水球≫を詠唱もしながら発動していた。

その後も初級魔法を3種というのが何人か続き、だんだん詠唱が無くなって来た。

侯爵?令嬢は≪火球≫、≪そよ風≫、≪水刃≫、≪灯り≫を詠唱しながらであった。


リリーも名前を呼ばれて、≪種火≫、≪風盾≫、≪水生成≫、≪灯り≫を無詠唱で発動する。先生があれ?という表情をするが、そのまま続けていく。

そのうちフェルールも名前を呼ばれて、≪火炎≫、≪水球≫、≪灯り≫を発動する。終わった後に寄って来てサラとリリーに言う。

「あの後に≪灯り≫を覚えたの」


どうも、入学試験の成績が低い順に行っているようであった。最低が初級3種で、種類が多いことよりも中級など上の魔法ができることの方が高評価であったようである。そのため、リリーが≪風盾≫という中級魔法を入学試験後に覚えたので、先生の思惑とずれたのであろう。


最後にサラが呼ばれるが、それまでに上級魔法を発動する者は居なかった。最大で中級魔法が2種であった。サラは≪火槍≫、≪風盾≫、≪氷槍≫、≪土壁≫、≪灯り≫、≪夜目≫を無詠唱で発動した。これもまた入学試験のときより上級も増えたので先生があれ?という表情を再度する。クラスメイトの反応は、ほとんどが驚きであったが、一部の取り巻きによるにらみなどがあった。

サラの発動後にはフェルールが寄って来て言う。

「サラさん、流石ね。上級が2つもあって、6属性すべてなんて」

「そうですね、12歳でこれだけは素晴らしいです。皆さん、拍手!」

というクラス担任に従い、本気で拍手する者もいやいや拍手する者も居た。


本日は以上、という担任の言葉の後には多くのクラスメイトが寄って来て話しかけられ、なかなか帰れなかったサラであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る