第257話 呪詛短剣

通常の魔道具の確認や、サラの見せた他の魔道具のメモなどの「好き者談議」が終わった後に、実はもう一つと、サラが短剣を差し出す。魔剣ストラデルではなく、氾濫オークのダンジョンで見つけた、呪いの短剣である。

直接触るのを避けて、時間停止付きの≪収納≫腕輪から、テーブルの上に転がす。


「これは」

とカーラも覗き込む。何か手袋を取り出して、それをはめた手で柄を外して中も見ている。

「どこで入手したの?」

と聞かれたので、オークの氾濫スタンピードがあったゲレの街の近くのダンジョンの旨を伝える。

「これ、もともと≪睡眠≫の付与があった短剣が呪われた感じね。氾濫の強力な魔素の集まりで呪いになったのかな。呪いは≪睡眠≫に関係した悪夢などみたいだけど詳細は分からないわ。直接触らない方が良いわよ」

と解析結果を伝えられる。


サラは

≪解呪≫

としてみるが、まだ変な雰囲気は消えない。まだまだ習熟が足らないみたいである。

「あら、面白い魔法を使えるのね。職業柄、呪いの物も集まってくるの。習熟出来たら、手伝って貰える?もちろん賃金は弾むわよ」

と本気か不明なことを言われる。

それは置いておいて、拠点ができたことだし、夜の訓練には≪呪詛≫≪解呪≫の繰り返しをしようと思うサラであった。



住処が確定できたので、サラたちはそれぞれの保護者に連絡することにした。サラが伯爵領都に居る師匠エミリーに、カーラの隣人になったことと、その旨をハリー兄妹の両親にも伝えるように水精霊シルビーへ伝言をお願いしておく。カーヤはダンジョン都市ワチエに居る両親への手紙にする。

サラは念のため、寄親であるヴァーヴ伯爵の王都の屋敷の執事たちにも伝えておく。

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