第92話 焦燥

もうすぐ11歳になる年上のハリーは、サラに置いて行かれる不安で焦りを感じている。


先日のオーク村討伐の際にも、サラの貢献でハリーたち3人には多めの報酬配分を貰うことができたが、サラが先輩冒険者に勧誘までされていた。

また、リリーと同様にサラに文字や魔法を習うも、それぞれサラほどは無理と諦められても、妹のリリーにまで大きく水をあけられて向いていないと認識することに自尊心を損なう。


夜に3人相部屋で、サラが魔法回復薬の作成や魔法の訓練、リリーが毛皮処理や魔法の訓練をしているとき、ハリーは夕食の準備が終わると手持ち無沙汰になる。他2人が落ち着いた作業をしている中で武器の訓練や筋肉トレーニングをすることもためらわれる。魔法訓練をするも、≪種火≫はなかなか習得ができない。≪水生成≫は、領都近くの洞窟で水精霊の実質的な支援効果があったから最初のヤマを越えられたのだと思う。

リリーとサラに相談し、費用はかかるが別部屋にして貰うことにする。もちろん料理はハリーが作成、≪洗浄≫や体を拭うお湯作成はサラにお願い等は継続する。

1人部屋になったハリーは、武器や肉体的な訓練を開始する。もちろん隣室のリリー達だけでなく他の客への迷惑も含めて、あまりに大きな音を立てることはできないが。


また少しでも時間ができれば冒険者ギルドに行き、片手剣・盾・体術・短剣投擲などの指導を受けに行くようになった。



そうこうしながら、魔の森の日帰り、一泊ほどのダンジョン攻略を継続し、中級武器への買い換えで軽くなった財布の回復を行っていた。

武器の買い換え等の効果や3人それぞれの上達により、魔物でもDランクやEランクは安全に狩りをできるようになり、逆に成長を感じられなく物足りなくなってきた。

かといってCランク以上ばかりのダンジョンにいきなりは行けないため、Cランクが混ざる地域やダンジョンの情報収集をして、次の狩場を検討する。


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