第80話 隠し部屋
風魔法で気付いた隙間の先には、気配察知では敵もいる模様であった。
隙間の辺りを触っていると壁が動き、部屋がその奥にみえた。≪灯り≫がついた盾を前にハリーから順に部屋に入る。動くものが見え、戦闘態勢を取る。≪集音≫で分からず気配察知の対象であり、想像通りの蛇が3匹であった。
特に苦労することなくしとめ、魔石回収等をしながら部屋をよく確認すると、壁にスモールシールドほどの大きさ凹みがある。中には手のひら2つ分ぐらいの大きさの台があり、上に指輪が乗っていた。
罠を警戒して棒で取ってみるが何も起こらない。よく見ると小さな魔法陣があるようで魔道具と思われたが、効果も分からないため装備はせず持ち帰ることにした。
その後は特に問題も発生せず1層の踏破を完了する。下り階段の方向に戻りながら、敵も居なかった部屋で野営することにした。部屋といいつつ扉があるわけでないため、酸欠にもならないだろうと、森で拾ってきた枝を焚火にする。
火で温めた夕食を取った後、武器の手入れや日課の訓練など簡単に行った後、3交代で見張りをして夜を明かす。太陽が見えるわけでないため体感時間での判断ではあるが。
翌朝、軽めに朝食を取った後、探索を再開する。下り階段の先、2層も同様の洞窟であった。ここでもギルドで購入した地図をもとに進もうとした矢先、他の3人組冒険者と遭遇する。
先輩たちに指導されていたのは、ダンジョンなどで遭遇した冒険者同士は、もしかすると相手が強盗にもなりえるために知り合いでない限りは軽い挨拶のみとし、すぐに離れた方が良いということであった。その指導に従い、軽い挨拶のみで相手とは反対の方向に進むことにした。
この2層では魔狼が2匹や3匹で巡回しているようで、それらとの遭遇ばかりで魔鼠や蛇は登場しなくなっていた。この魔狼も事前に察知して対処することで問題なくしとめることができ、魔鼠と同様に魔石や素材等を回収した後は部屋の片隅に固めて放置しておいた。
昨日魔鼠の死骸を放置した部屋を今朝見たときにはきれいになくなっており、ダンジョンは死体を吸収するという噂は本当であると認識した。
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