140
魔法の土壁が消滅すると同時に、俺は残った敵を視界内に収める。…アド
『視界内の敵プレイヤー6名の位置情報を認識…捕捉しました』
…よし。
「ふざけるな!ぶっ殺してやる!!」
6人の男達が、それぞれの武器を手に距離を詰めてくる。
「…【サンダーフォール】」
俺は魔法を発動。上空に巨大な光の魔法陣が出現。
「な、なんだ!?」
慌てて警戒する男達。…もう遅い。
魔法陣から稲妻が走り、男達を穿つ!!
「「「ぐわあああぁぁぁぁああああ!!!」」」
小さな雷に撃たれ、男達は消滅。…上出来だ、アド。
【サンダーフォール】…上空から同時に最大十数発の雷撃を放つ、上級魔導士のスキル。威力、攻撃範囲共になかなかの性能だが、扱いが難しい。本来であれば、使用者自身が攻撃対象及び攻撃位置を決定し放つ魔法だ。
そのため、動き回る敵に正確に雷撃を当てるのは至難の業。敵の数が多ければ多い程、その難易度も上がる。放てる雷撃の数は多くても、正確に攻撃対象に狙って当てる事が出来る数は、せいぜい2,3体程度だろう。
だが、その攻撃対象の補足作業をアドに任せれば…複数の敵の動きをアドが追い、攻撃の照準を合わせる。後は御覧の通り…同時に6人の敵を、正確無比に撃ち抜くことも可能!
アドがいれば、スキルの性能を十二分に引き出して行使できる。もしかしなくても、とんでもないスキルなんじゃないか?【
『お褒めに預かり光栄です、マスター』
あぁ、頼りにしてるよ、アド。
「おいおい…とんでもないな。ホントに二人で10人以上倒しちまいやがった…」
ザイが感嘆の声を漏らすが、その表情にはまだ余裕の笑みが張り付いている。気に入らないな…
「いい加減降りて来たらどうだ?…」
「いつまでもヘラヘラ笑いやがって、ぶちのめしてやるよ!」
俺とマイルは振り返り、屋根の上のザイを睨みつける。
「…あ~、まぁ確かに下の連中じゃお前等は手に負えねぇな……ファニ、ゴルト」
「「!!」」
黒装束に身を包むファニがマイルを猛襲!
二本の短剣でマイルに連撃を放つ!!
「なっ!!!」
マイルが大剣でそれを凌ぐが、全ては防ぎきれず、徐々にダメージを受けている!
「マイル!!」
俺はマイルのフォローに回ろうとするが…
ズドォォォン――
「くっ!!?」
衝撃音と共に、全身を甲冑に包んだ大男、ゴルトが跳び下りてきて俺の前に立ち塞がる!
「フーッ…フーッ…」
フルフェイスメイルで素顔は見えないが、荒い呼吸を漏らしながら、ゴルトが大斧を振り上げる!
「っ!!!」
咄嗟に横へ跳んで斧を回避!
振り下ろされた大斧は地を砕き、圧倒的な破壊力を誇示する。一撃の威力は高いが…そう速くはない。
「【フレアボム】!」
俺は距離を取りつつ、掌から火球を放つ!
「なっ!?」
ゴルトは火球を回避するどころか、俺に向かって直進!
魔法がゴルトに着弾し、小さな爆発を起こすが、意にも介さず突っ込んでくる!
「【
俺は機動力に優れた【
「【
無数の矢をゴルトに向けて放つ…だが!
「オオォォォオオ!!!」
「って!!」
ゴルトはその攻撃さえも、気にも留めずに猛進!大斧を横薙ぎにフルスイング!!
ゴリ押しかよ!!?
「【
俺は敏捷性上昇のスキルを発動し、退避!…何とか難を逃れる。
…だが、厄介だな。
「フーッ…フーッ…」
一応それなりに攻撃を受けているはずだが、ゴルトのダメージは微々たるもの…。機動力ではこちらが
【
「くっそ!!…速ぇ!!」
マイルも素早く動き回るファニを相手に苦戦を強いられている…マズイな、マイルとの距離を離されてしまったのも面倒だ…。しかも…おそらくリーダー格であろう男、ザイは未だ高みの見物…いつ攻撃を仕掛けてきてもおかしくない。
「ウガアアァァァ!」
「おわっと!!!」
ゴルトが唸りを上げて振り下ろしてきた斧を避け、バックステップで再び距離を取る。くそ…邪魔だな。
「仕方ない…」
…アレをやるぞ、アド。
『了解』
まずはこのデカブツを黙らせる!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます