聖女 財政苦の末に税金をあげる事を決断する そして暴動がおこる

「はぁ……」


 アリシアは頭を抱えていた。経済大臣が横領の末に高跳びをした経済苦を憂いでいたのである。

 そもそも国の金は国民の税金が主である。つまりはアリシアのものでは本来ないはずなのだが。それでも懐事情が苦しくなった事に相違はない。


「どうしようかしら……」


「アリシア殿。いかがされるのですか? 災害による王国の立て直し、それから経済大臣の横領による経済難、いかがされるのですか? これは痛い打撃でありますよ」


 外交大臣がわめく。


「わかっているわよ。そんな事。決まってるじゃないの。損失の穴埋めは税金をあげるしかないわよ」


「しかし税金をあげれば暴動が起こるかもしれませぬ」


「武力で鎮圧するのよ。仕方ないでしょ」


「独裁的ですな」


「仕方ないじゃないの! 他に方法がないんだから! いいからさっさと税金をあげる旨国民に通達しなさい! それで来月から税金あげるのよ!」


「わかりました」


 こうして王国中に税金が上がる報せが出回る。


 ◆◆◆

 

 当然のように税金の引き上げは国民の反発を買った。税金があがって喜ぶ国民はいないだろう。吸い上げる方はその限りではないが。


「ふざけんな! 来月から税金があがるだって!」


「こっちは災害だけでも大変だっていうのに!」


「やってられねぇぜ! こうならやってやらぁ! 俺達で徹底抗戦だ!」


 こうして国民によるデモが起こった。


 ◆◆◆


「聖女アリシアに告げる! 税金をあげるな! 聖女アリシアに告げる! 税金をあげるな!繰り返す!女アリシアに告げる! 税金をあげるな!」


「税金あげるのはんたーーーーーーーーーーーーーーーーい!」


「「「「はんたーーーーーーーーーーーーーーーーい!」」」」


 予想していたように国民は抗議のデモをするようになった。声を大きくする魔石でもあるようだった。えらい声量である。人数も多い。その為余裕で王城まで聞こえてきた。


「あーーーーー! もううるさいわねっ! 昼寝もできやしないわよ!」


「いかがされますか?」


「武力で鎮圧するって言ってたでしょうが」


「しかし国民が怪我をすれば労働力が減ります。それに流出する国民も増える事でしょう」


「くっ。そうね。何とか怪我させない程度に散らしなさい」


「はい! 了解しました」


 ◆◆◆


「ほら! ここは王城だ! 散れ! 散れ! デモは終わりだ」


 兵士がデモ隊を散らす。


「ふざけんなっ! こちとら生活かかってんだっ! おらっ! 食らえっ!」


 男が火炎瓶を投げつける。


「うわっ! あちいっ!」


「こいつ等! やりやがったなっ!」


「馬鹿! アリシア様に暴力はやめるように!」


「あっちが仕掛けてきたんだ! やらなきゃやられちまうだろうが!」


 兵士は剣を抜く。デモ隊と兵士の衝突が始まる。


 こうして多くの血が流れるのであった。


 多くの怪我人が出て、国民の国家に対する不満が溜まり、流出する国民も増えていった。

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