第30 お金の問題


「悪いエリィー。 今日も遅くなる」


「バイトなのか? 」


「いや、違う、前に話した件だ。 あいつも、フランの事も心配だからな」


「それは構わないがそれなら私も一緒に」


「ダメだ。 危ないし、お前はここに居てくれ」


「それならユウカだってそうじゃないか。テレビでずっと放送しているぞ。 今バイパーが暴れ回っているから外をあまり出歩かない様にと国の人が警告している」



「うん。わかっている。 だからエリィーもしもの時は話した通り呼ぼうと思っているんだ」


「私は構わない、 フランとまたあえて、新しい人間の友達ができるなら嬉しいしな」


「ありがとう。 じゃあちょっと調べてくる。 俺もよくわかってないんだ」


「分かった。 行ってらっしゃい」


 いつもの朝。何も代り映えはしない、ただ舞と会わなかった。そんな朝が何日か続いた。 

どうやら学校に行ってない訳では無いらしい。 だけど、家にも帰っていないみたいだ。

ここしばらくユウカは舞の家に寄っていた。 チャイムを鳴らしても一向に出てこないし、たまにやっぱりアイツらが舞の家に来てい。


 あいつらも舞が留守なのを知ると車を走らせて何処かへ行ってしまったが、あの、御上とか呼ばれているやつ。あいつが来なくてもスーツの男が頻繁に舞の家を見回りに来るようになっていた。


だから帰れないのだろう。 だからと言って舞がどこをほっつき歩いているのかはユウカにもわからない。




「ねぇねぇ桂川、今日さ皆でカラオケ行こうよ」


「おぉ、いいじゃん。ナイス黎。 そっちは星ちゃんと月のメンバーだよな」


「もち! つっても、月捕まえられるかまだ分かんないけど。

 そっちはユウカと学」


「俺もか? まぁ俺はいいけど」


「おぉ、珍しいな学」

「たまには息抜きもしないとな」


「後はユウカ君と月だけなんだけど」


星と桂川は残念そうにユウカの机を見ていた。


「それがさ、。あいつ今日もまた早々と帰っちゃってるんだよね」


「はぁー?またぁ? 何なのアイツ もしかして女? 女でもできたの?」


「それがさ、俺たちとも付き合い悪いんだよな。 あいつ何もなければいいだけど」


 星は心配そうにしていた。


「ユウカ君きっと一人で生活してるから、色々大変なのかも」



「なに星?なんか知ってんの? 」


「いや、私は別に特にはなにも」


 星はだんまりして下を向いてしまった。


「あとは月か。 月もなんか忙しいとか言ってたもんね。 最近の学生ってこんなにも忙しいもんかねぇ? 」



 四人はユウカの机を見ながら不貞腐れていた。


 ユウカ達は今令嬢学園の一角を借りてそこで授業を行っていた。令嬢と形状合併したようにも見えるが、しっかりと別れてはいる。彼ら3年生にはもう後がない。これ以上去らね勉強ができなければ可愛そうだと感じた学園のご厚意もあって3年生は特に早くから令嬢学園に通うように通知が来ていた


 だから舞が学園に来ているのをユウカは知っていた。 朝は全く合わなくなってしまったが。もしかしたら早く帰ってるのかもしれないと、今日は一番に舞の家に行っては見たのだが、案の定目の前には奴らの車が止まっていた。

 これは帰れない。 

 ここまで早く来てこの状況なら、舞が見ても家にはしばらく近づかない様にしようとするだろう。

 ユウカは舞の傷を思い出すと、目の前にいる黒服男とその組織が許せなくなったが、今は舞を探すことが先だ。


 とにかく人混みの多いところを探そう。 ユウカが追われているのなら、逆にそう言ったところの方が安全だと思ったからだ。


 駅前には来てみたものの、だからと言って見つかる保証はない。

 こんな人が多い中どうやって探せと言うのか。 助けになったのは令嬢の制服姿で居てくれていることぐらいだろうが、そんな簡単に……


 いた。 絶対あれだ。 金髪の後ろ姿に、右側に黒い筒と鞄を持って、スマホを触ってる。 舞でしかない。

 なんてわかりやすいのだろう。 ユウカはすぐに後を追った。


 彼女はファミリーレストランに入っていった。 しっかりと手をつないで、ぶかぶかの服を来た子と入っていった。



「いいよ、何食べる?」


「……舞と同じもので良い」


「何か食べたいものとか無いの? 」


「……舞と同じものが食べたい」


 舞はあまりの健気さに惚れていた。 だけど懐事情がもう寂しい。 ちゃんと食べる生活も後何日もつか。 ホテルに泊まるとなると、お金の減りも早い。


「じゃあ俺はこの、グラタンドリアにしようかな」



 急に男が席に座ってきた。


「はぁ? あんた誰…… っで、なんで?」


 声を聴いたフランが目を輝かせて見上げる。


「……ユウカ! 」


「よっ! 久しぶりだな」


「……どうしてここに? 」


「何で勝手に席入ってきてんのよ、アンタ」


「いや、見かけたからさ」


「見かけたからって普通尾行して席入って来るか」


「フラン大丈夫か? 」


「……うん。 私は大丈夫」


「聞いてないし……

 もう、何なのよアンタ。 早くどっか行きなさいよ」


「逃げてんだろ、お前ら」


 舞の目が曇る。

「別に。 何から逃げてるって言うの。 ただ私はフランと御飯してるだけなんだけど。

 分かったら早く消えてくれない」


「家、帰ってないんだろ」


「な、何言って」


「あいつら、今日もお前家の前で張り込んでやがった。

 毎日毎日ご苦労な事だよな」


「アンタ、家に言ったの!? 」


「お前が心配だったからな」


「何考えてんの? ばっかじゃない。 しかも毎日来てたの?」


 舞はそれを聞いて溜息をついた。


「知ってんならもういいけど。そう。 あんな状態だから二人で逃げてる訳」


「それでお前胸に傷負ったのか」


 舞は以前に出血してしまったところを見られてしまったのを思い出した。


「こ、これは、別に、その、」



「あいつら、マジで許せねぇ」


「なんでアンタがそこまで怒んのよ」


「フランは、何もされてないのか?」


「あぁ、大丈夫、この子は見つかる前に、連れ出して逃げたから、知られてはいないと思う」


「お待たせしました ――――」



テーブルには三人のごはんが並べられた。


「…… グラタンドリア、以上3点でよろしいでしょか?


それではごゆっくりどうぞ」



 ウエイトレスは軽やかい去っていった。


「アンタ本当に食べて行く気?」


「勿論」


 溜息が出る舞だった。


「お前らさ、いつまでこんな生活続けるつもりだ? 」



「別に。 あんたには関係無いでしょ」



「あいつらだってお前を探し回ってるんだろ。 だったらこんな事してたらすぐに見つかっちまうぞ」


「いや、それは無いでしょ。 こんな人混み多い中、すぐに見つける事は無理だと思うけど」


「いや、お前めっちゃわかりやすかったぞ。 すげぇ目立ってたし、だからこうやって来れた訳だし」


舞は少しの間自分の姿を考えて悔いていた。


「まぁ、確かに、あの人が本気を出せば私達は一発で見つかっちゃうんだろうけど」



「だったらさ、家に来ないか?」


「は? 訳わかんない? 嫌よ。 何でアンタの家なんか行かないといけないの。 ここで十分だし」


「お前はいいのかもしれないけど、フランまで大変な目に逢わせるのは可哀想だろう」



 その意見には反論できない。


「……ユウカ大丈夫。 私はこの生活も結構楽しい」



「そうか」


 ユウカはフランの頭を撫でた。


「傷だって負ってるんだろ。 別に一生居ろとか、こき使おうとかそんなこと言ってんじゃない。 少しでも力になれればと思って」




「怪しい男の家なんか行くわけないでしょ! ばっかじゃない」


 舞は照れ臭そうに顔をそらした。 少しでも心配してくれる人がいる事が嬉しかった。その微笑みが少しでもこぼれない様に顔を上げたのだ。



「それに今のままよりはお財布にもいいと思うんだけど」


 舞は硬直した。確かに、このままではヤバいと思っていた矢先の美味しい話でもある。


「でも、嫌よ。 アンタ一人暮らしでしょ。 三人も泊まるほどの広さだってないだろうし、私結構夜ごそごそするから」


「部屋なら大丈夫だ。 それに、俺も夜遅くまで起きてるから」


 フランは舞の裾を引っ張った。


「……ユウカの部屋なら大丈夫。 まぁまぁ広い」


 舞は疑いの疑念しか抱けなかった、


「いや、でも悪いし」


「良いって。 気にすることないから。 事が片付くまでいたらどうだ。

 と言うか、今日だけでもさ」


 舞にはユウカにそこまでしてもらう義理がない為、簡単にお願いしますとは言いにくかった。恩を作る事を彼女は良しとしない。 


「……舞、……私はどっちでもいいよ」


「じゃあ決まりだな」


 半強制的だった。 


「食ったら出発だ。 いいよなフラン」



「……うん」


「よし。決まりだ」



「決まりじゃない! なに2人だけで勝手に決めちゃってる訳」


「だってお前に聞いてもいかないしか言わないだろ?」


 図星だ。


「つう訳で、多数決で決まりな。 異論は認めません」


「はっ、? なっ、何それ。 何なのよ、ったく」


 三人はなんだかんだで楽しい食事を済ました。彼女らがなぜ追われているのか、誰に追われているのかは楽しい話の中で伺う事すら忘れていた。



「何か悪いな奢ってもらって」


「別に、アンタんとこにお世話になるんだから、これくらいさせてもらわないと気が済まない」



「お前って結構いい奴なんだな」


「い、いきなり何言ってんのよ」

 

 思いもしない言葉に、照れてしまう舞は言葉が思いつかない。


「ただアンタに恩を作るのが嫌なだけよ」


 本当はそんな事を言いたい訳ではないのに。 何故かいつも自分の心を囲おうとしてしまう。いつからなのだろうか、彼女がこうも真逆な方向に変わってしまったのは。


 舞はしぶしぶついて行くような形で後をついて行った。 なぜならフランとユウカは何だかとても仲良さそうに二人で歩いて自分が入る隙がない。 確かに舞が入ったからといって話が盛り上がるかと言うと、そうはならない事を舞もわかっていた。 けど、だからなのか、そんな2人を見ていると、むかむかと込み上げてくるもやもやとした感覚。 二人はそんなに仲良かったのかと少し妬いていた。


 2人の後ろをついて行った先で見たのはなかなかのマンションだった。


「え? あんた一人暮らしなのにここに住んでるの?  嘘でしょ? 」


「ここだけど。 どうかしたのか」



「どうかしたって、アンタ、ここ1人暮らしで住むマンションじゃないでしょ

 しかも、しっかりしたオートロックがついてるし。これ分譲でしょ?

 ――――もしかして一人暮らしでない…… 」


 最初は話しかけていたが、だんだんと舞は1人で呟くように何かを言っていた。


「お前さっきから何ぶつぶつ言ってんだ? 」


「……舞はきっと興奮している」


「は? フラン、何言ってんの!? 」


 テンションが高揚していた。


「何だ、マンション入ったことないとかか? だったらなんかそのわくわくする気持ちわかるぞ」


「何言ってるのよ、マンションくらい知ってるわよ」


 ユウカの部屋のドアを開けると、綺麗な廊下が広がっていた。 これ、絶対1人暮らしじゃない。部屋に入った瞬間わかった事だった。


「ユウカおかえり~、遅かったな、すっかりお腹が空いたぞ」


「誰か居るじゃん」


「あぁ、そうだな。 紹介するよ。エリィーって言うんだ。 俺が預かってる子だ」


「フラン久しぶりだな」


「……久しぶりエリィー」


「ゲームでもするか」


「……うん! する」


 フランの目は輝き、瞬くまに舞のそばから離れて行った。


「はぁ、そう言う事。 だからフランとアンタが仲言い訳ね。 なんか理由が分かった。 で、親戚か何か? あんまりそんな風には見えなかったけど」


 ユウカは笑ってごまかした。


「後、あの子が来てる服。 何? 」


「なんだ、お前も気づいていたのか? 流石だな!」


 舞はエリィーからなのか、それよりも、エリィーの来ていた服から異様な感じを感じ取っていたので伺いを立てていた。



「あれ、モール行った時店の人に、これならいいんじゃないかって進めてくれて買った服なんだ。俺もどうなんだと半信半疑だったんだけど、エリィーが着るとなんかめっちゃ可愛くてさ、似合ってるよな 」


 想定外の答え。 彼には舞が感じていた気配をかじられてはいない。


「あ、いや、そうじゃなくて……」


「あいつさ、何着ても似合うんだよな。 ほんと可愛いから」


「……あんた親バカでしょ、絶対」


 語り出したら止まらないユウカ。 まずい点をついてしまったと、舞は話になるべく突っ込まない様にして話を終わらせようとしていた。


 エリィーがすたすたと戻ってきた。


「そうだユウカ、御飯はどうするのだ? 」

 

 舞はまだエリィーに挨拶ができていなかったので、改めて挨拶をする。


「エリィーちゃんって言うんだよね。 私、舞って言うの。 ちょっとお邪魔させてもらう事になったんだけど、よろしくね」


「うむ。話はユウカから聞いていた。 今日来るかもしれないとな。 こちらこそ暫くよろしくお願いします」


 この時舞はエリィーを少し警戒していた。


「エリィー、お前敬語が使えるようになったんだな。 えらいぞ」


 嬉しくてエリィーを撫でるユウカ


「おい、止めろ、何するんだ。 この場合こっちの方がいいんだろう? 」


「そんな事言ったら台無しだけど、今日は許す」


 さらにエリィーの髪をわしゃわしゃと撫でた。 エリィーもまんざら、嫌ではなかったが、もうやめて欲しいかった。

 ユウカが地獄を見るのかここからだった。


「所で御飯は? この大人数分をつくるのか? 」


「えっと、実はその、食べてきたんだ」


「はい?」


 エリィーの目がだんだんと曇り出す。


「お前、私が待っているのに、3人で仲良くご飯を食べて来たのか? 私抜きで」


「その、仕方なかったんだよ」


「どう仕方なかったのだ? 」


「どうしても入らないといけない雰囲気と言うか、何と言うか」


「私はいつもちゃんとお前の帰りを待っているというのに」


 舞もさすがに、それは可愛そうだと、思って話を聞いていた。


「あ、そうだ、エリィーちゃん。 良かったら出前取らない? すごくおいしいお寿司の出前があるんだけど」


 何気なく聞いてはいたが、あまりにも可哀想な事をしてしまったと思った舞が、提案そ持ち掛けた。


「何だよ、その美味い寿司って。 まさか、あの源さんの寿司の事じゃないだろうな?」


 ユウカの中で嫌な予感がしていた。


「そうよ。 その源さんの寿司よ」


「ばか、あれは……」


「お寿司? 何なんだそれは? 」


「じゃあ決まりだね。 今から出前を取ろう」


 ユウカは舞にこそっと耳打ちする。


「馬鹿、止めろ、そこまでしなくてもいいだろう」


「だって可哀想じゃん。 あんたこそこんな可愛い子ほったらかして、御飯を抜く気?

 それに私もお邪魔するんだから、これ位させてもらうわよ」


 源さんのお寿司。 それは激選された、魚だけを選び抜き自らが海に出て取ってきた新鮮な魚をこれでもかと言うばかりに厚切りされた肉厚と油の乗ったネタで出される有名なお寿司だ。

一貫一貫にプライドと魂が込められて握られた寿司は、口の中で液体のように溶けてしまうのだとか。

そしてそれは舎利にも源さんでしか表せないネタとマッチした巧妙な味。 締まった舎利は一から作られた、源さん特性寿司用のタレと、源さん自家で作ってすりおろしたわさびとをつければそれは何ものでもない、至極の味。


 要は高級寿司という事だ。



「出すって言っても、あれ幾らすると思ってんだよ」


「いいじゃん。私も食べてみたかったし、フランたちにもいい経験じゃない? こんな機会なんだし、もう、ぱっとしようよ」


 パリピか! そのな何にも考えなしの突っ走りが痛い目を見るんだと言いたかったユウカだが、既にフラン、エリィーは舞の軍神下っていた。


 舞が軽く考えてい事に後悔したのは、お寿司が届いてお支払いの時だった。ユウカはそれを見越して届けに来る前に、口座からお金を下ろしに行っていたおかげで、何無きを得たのだか。


 お財布は空っぽになってしまった。



「そ、そんなに泣かないで、 ごめんてば」


「……ユウカ大丈夫? 」


 フランが心配してユウカに近寄ってきてくれた。


「いや、相当やべぇよこれ。 明日からどうすんだよ!」


 舞はユウカに借金と言う形でしばらく、この家の家計を支えることになった。



「まぁ、まぁ、届いてしまったし食べよう。 しかしこれが寿司という食べ物なのだな。

  形は見たことがあるが、俺は美味いのか?? 」

 

 エリィーも事態を飲んだが、とにかくはじめての寿司に興味が向く。 


「……うん。 これ不思議な食べ物」


フランとエリィーは割りばしでつんつんとネタを突いて感触を確かめていた。



「おいおい、つんつんするな。 まぁ、食べてみ、たぶんヤバいからこれ」


 フランとエリィーにはそれは生もののような、不思議で異様な光景に見えたが、舞やユウカにはそれが、黄金に輝く金の山にしか見えなかった。その輝きは目をも覆いたくなるほど。


「あ、フランちょっと待って」


 フランは食べようとした箸を止める。


「これ付けると美味くなるから」


 舞はフランの小皿に醤油とわさびを袋から開け、醤油に溶かした。


「はい、これ付けて食べてみ」


 舞は優しくフランの食べようとした寿司に醤油を絡めて箸を口元へ持って行った。


「エリィーもこれな」


 ユウカが醤油に溶いて同じものを渡した。


「うむ。 これにつけて食べればいいのだな」


 エリィーもしっかりと醤油を絡めつくして食べた。 口に入った瞬間、二人の表情が変わる。

 

 フランは感激のあまり瞳孔が開いたまま止まり、そしてエリィーは涙を流してもがいていた。


「……美味しい」


「か、辛いぃぃぃぃぃ」


 3人はエリィーに注目した。


「バカ、お前つけすぎなんだよ、 ほら、水、水だ」


 エリィーは水を飲み干すと、しばらくかわいらしい咳をして咽た。


「だ、大丈夫?エリィーちゃん」


「だ、大丈夫だ。ユ、ユウカ、 よくも、よくも……

 こんな美味しい物を頼んでくれたな」


 エリィーは感動していた。 その涙がどちらのものだったのかはわからないが、それでも美味であったのだ。



 それからの2人の箸の動きは俊敏に動いていた。 舞とユウカは心配はしたが、エリィーの姿を見て顔を見合わせ安心した。



「あっ!」

「あっ!」


 またも二人の息はぴったり合っていた。


『私たちの分!! 』



みんなは高級寿司を囲って食べた。 この寿司の前では誰でも敵。戦場となった。


その日、4人のほっぺは垂れ落ちたと言う。


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