メテオラ 時の女神

雨世界

1 時の女神との出会い

 メテオラ 時の女神


 登場人物


 メテオラ 導かれる子供 今現在の年齢は十二歳


 エラン 時の女神 年齢は……?

 

 パステル メテオラが過去で出会う魔法使いの女の子 年齢は十二歳


 ソマリ 導く人 未来を知る魔法を知る 過去の時代では年齢は十二歳


 マグ メテオラのお姉ちゃん 過去の時代では年齢十二歳


 マリン 古き時代の魔法使い 本の中に閉じ込められている 年齢は十二歳


 プロローグ


 ……僕と、手をつなごうよ。君が、世界の淵に落っこちないために。


 魔法使いという種族について


 その一、魔法使いは空を飛んで一生を終える種族である。

 その二、魔法使いの魔法とは空を自由に飛ぶことである。

 その三、魔法使いはその生涯をかけて自身の魔法使いの研究をする。

 その四、魔法使いは森とともに生き、森とともに死する種族である。

 その五、魔法使いが死ぬと、その魂は根元の海と呼ばれる場所に還っていく。

 その六、魔法使いは魔法樹という大樹を信仰する。

 その七、魔法使いは他種族と交流を持ってはならない。


 本編


 時の女神との出会い


 ……メテオラくん。起きてください、メテオラくん。

「……うん? 誰ですか?」

 そんな声に誘われるようにして、メテオラは目を覚ました。

 するとそこは見たこともない世界だった。

 メテオラは確かに自分の家のベットの中で眠っていたはずだった。でもこの場所にはメテオラの知っているものは愛用のベットしかなかった。

 あとの空間は、まるで星空のような、いつもメテオラが見上げている宇宙のような空間がメテオラの全面に広がっていた。

 メテオラはびっくりした。そしてそれから、自分が今夢を見ているのだと思った。

「夢ではありません。メテオラくんをここに呼んだのは私です」

 そんな声が聞こえた。

 綺麗な声。

 女性の声だ。

 メテオラは声のするほうに目を向けた。すると、そこには一人の女性が立っていた。美しい青色の衣を身にまとった白い肌をした、孔雀のような色彩のある緑色の長い髪をした女性。

 その女性はメテオラを見てにっこりと笑った。

「初めまして、メテオラくん。私はエランと言います。時の女神、エランです」

 女神エランはメテオラにそう自分の名前を名乗った。

「……時の女神、エラン?」メテオラは目をぱちくりさせて、その名前を繰り返した。

「そうです。私は女神。普段はこうして誰かの目の前に姿をあらわすことはありません。それこそ、英雄や勇者であるような人物であれば、話は別ですけどね」

 そう言ってエランはくすくすと笑った。

「メテオラくん。あなたは英雄です。私が見た未来の英雄の一人なのです」とエランは言った。

 メテオラには女神の言葉が、なにを意味しているのか、まったく理解できなかった。

「理解する必要はありません。今はただ、私のお願いを聞いて欲しいのです」と女神エランは言った。

「お願いとはなんですか?」メテオラは言う。

「……ある不幸な運命にある一人の女の子を助けて欲しいのです。そのためにメテオラくん。あなたの力を貸してください」女神エランはそう言ってから、一粒の涙を流した。


 その涙は大地に落ちて宝石になった。

 その水色に光る宝石を女神エランは拾い上げる。そのあとでエランの両手が黄金色に光り、その光は金色の輪になって水色の宝石にくっついて、それは一つのネックレスになった。

「メテオラくん。こっちに来てください」エランは言う。

 メテオラはエランの言葉に従って、ベットから下りてエランの前まで移動した。

 エランはそのネックレスをメテオラの首にそっとかけた。

「……このネックレスは『時のお守り』と呼ばれるものです」とエランは言った。

「時のお守り……」

 メテオラはその水色に光るネックレスを見る。

「はい。時のお守りです。このお守りを持つものは、『遡った時代の自分が干渉した過去の記憶を失う代わりに、一度だけ、時を遡る力を得る』ことができます」

「……時を、遡る?」メテオラは時の女神エランを見る。

「はい。メテオラくんには私と一緒に時を遡ってほしいのです。そして、その時を遡った世界で、先ほど話したように、一人の『時に囚われている不幸な女の子』を救ってあげてほしいのです」

 エランはメテオラをじっと見つめている。

「メテオラくん。……私の身勝手なお願いを、あなたは聞いてくれますか?」

 メテオラは考える。

 それから一言、女神エランに言う。

「……その人は、とても深い悲しみの中にいるんですか?」

「……はい。そうです。とても、とても深い悲しみの中にいます」エランは言う。その女神の言葉を聞いてメテオラは覚悟を決めた。

「わかりました。僕はその人を助けたいです。だから、女神エラン様と一緒に、過去の世界にいきます」メテオラは女神エランの目をじっと見つめながらそう言った。

「……ありがとう」エランは言う。

「では、メテオラくん。私の手をとってください」エランは右手をメテオラに差し出す。

「はい」メテオラは女神の手をとる。

 すると、世界に変化が訪れる。

 メテオラが首にかけている時のお守りが水色の光を発して輝き始める。

 それと同時に星が、銀河がとてもすごい速度で動き始める。メテオラと女神エラン以外のなにもかもが、とても早い速度で動き続けて、やがてそれは一つの大きな黒い穴を作り出した。 

「さあ、メテオラくん。いきますよ」女神が言う。

「はい」

 メテオラは返事をする。

 二人はそれから一緒にその黒い穴の中に飛び込んだ。

 ……そして二人は、……時を、超えた。


 あなたは、……誰?

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