バスタブ

 高野が蚤の市でバスタブを手に入れた。多少塗装が剥げているが、つるりとしたフォルムと猫脚が可愛らしいと渚が気に入ったからだ。可愛い物が大好きな高野の従姉である美浜は、自分にも使わせてほしいと頼んだ。優しいミルク色のシャワーカーテンを捲ると、水かきと鱗のある手がいらっしゃいとばかりに左右に揺れていた。

 害はないが騒ぎになるかもしれぬと、高野は渚に詫びつつもバスタブを処分した。そういう問題ではないと美浜は頭を抱えた。

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