第7話 怒りのサムライ・ガール
「ジェ……ジェネットォォォォォォ!」
鮮血が噴き出し、そのライフが大きく減る。
も、もうダメだ!
だけどそこでジェネットが信じられないような行動に出たんだ。
彼女は断ち切られて宙に舞う自分の右腕を左手で
「ハアッ!」
「ぐっ!」
大技である
まさかジェネットが斬られた右腕をハンマーのように使うなんて、そんな苛烈な行動に出るとは思わなかった。
アナリンも同じだろう。
「おのれっ!」
空中で体勢を
アナリンは思わず
片腕を失い、多量の失血で本当なら動けないほどの重傷を負ってなお、ジェネットは戦うことをやめない。
執念を見せるジェネットに
「光の聖女ともあろう者が見苦しい!」
そう吐き捨てるとアナリンは片腕のジェネットを組み伏せて
僕は慌ててジェネットを助けるべく駆け寄ろうとしてハッと足を止めた。
アナリンに馬乗りになられているジェネットの周囲の地面が光を放ち始めたんだ。
そしてジェネットの体から光の
あ、あれは……。
「アナリン。悪事を働くあなたを見過ごすわけにはまいりません。この身に代えてもあなたを
「なっ……」
次の瞬間、ジェネットの体の下から猛烈な勢いで光の
あ、あれは獣人魔術師カイルを倒したジェネットの新スキル。
元々得意としていた
その
あの魔法を至近距離から浴びたらアナリンもただじゃ済まない。
起死回生の逆転だ!
そう思った次の瞬間、
突き飛ばされたアナリンは十数メートル先の地面に転がり、彼女の身代わりとなって
「なっ……
そのライフがあっという間に尽きて、
主人を守って自分が犠牲になったんだ。
重傷を負いながらもジェネットが放った
そのライフはもう尽きる寸前であり、
大ケガを負いながら大量に法力を消費する大魔法を
くっ!
彼女を助けないと!
だけど反射的に駆け出そうとした僕の足元の地面に一本の刃物が突き立った。
それはアナリンが投げた脇差し・
「動くな。その女を
ゾッとするような殺気と
その表情には冷ややかな怒りが
愛馬である
「まんまとしてやられたな。先ほどの魔法を浴びていたらゲームオーバーになっていたのは
そう言うとアナリンは刀を逆手に持ち、一瞬でジェネットの
そして倒れて動かないジェネットを見下ろすと、
「や……やめろぉぉぉ!」
僕の叫びに応じて、握っている2本の
そしてジェネットの体に巻き付くと、すぐさま彼女を僕の元へと引き寄せる。
間一髪でアナリンの振り下ろす刃から逃れたジェネットを僕は抱き止めた。
ぐったりとしたジェネットの顔は血の気がなく青ざめているけれど、まだ息はある。
「邪魔をするな!」
こちらを
瞳の色は黒く戻り、頭に生えていた赤い角も消えていった。
そして
前回もそうだったけれど、
ちょうど1分くらいだろうか。
「チッ!」
アナリンは口惜しそうに
僕はすぐにジェネットを治療したかったけれど、アナリンはそれを許してはくれない。
「貴様には刀を抜かずとも事足りる」
そう言うと彼女は刀を収めたままの
「
僕の呼び掛けに応じて金と銀の
「こざかしい!」
アナリンは
僕は足元にジェネットを横たえると、金の
そして次の瞬間……。
「うぐっ!」
鋭い痛みが僕のオナカをえぐる。
アナリンが受け止めた僕の剣を上に払いのけ、それによって体が伸び切った僕の腹部に
固い
そしてアナリンは
「ガハッ!」
強い衝撃に目をチカチカして頭はグラつき、口の中に血の味が広がった。
そうして苦しむ僕の目の前に立ったアナリンは冷然と言う。
「もうすぐここに王女が現れる」
な、何だって?
アナリンの言葉に
彼女は相変わらず目に冷たい光を浮かべながら言った。
「神から聞いているだろう? e-bookの半分を国王から奪ったこちらには、残り半分の
そう言うとアナリンはすぐそばの地面に突き立ったままの脇差し・
そこで僕は気が付いたんだ。
刃渡り30センチほどの
「腹切丸はただの刃物じゃない。特別なひと振りでな。こいつで
その話に僕は思わず息を飲んだ。
アナリンが
「王の体内に隠されたe-bookの味を知った
神様は絶対に見つからない場所に王女様を隠したと言っていた。
「まんまとしてやられたぞ。おかげで神に近しい者たちを捕らえて締め上げるといった余計な仕事をする
アナリンがミランダや僕(アルフレッドのほう)を探していたのはそういうわけだったのか。
「どういう理由でe-bookの反応がこの付近から発生しているのかは分からんが、それを確かめるために今から貴様らの腹を裂く」
「た、確かめる?」
ようやく
「こざかしい神のことだ。王女の体からe-bookを取り出して貴様らのうちの誰かに移植したのではないか? ならば貴様も含めてこの場にいる4人全員の腹を裂いて確かめてやる。そうだな……まずはその死にかけの聖女からいこうか」
そう言うとアナリンは僕の頭を蹴り飛ばした。
「うげっ!」
強い衝撃を受けて
倒れたまま動かないジェネットに向けてアナリンがその刃を振り下ろそうとしているのを。
ダメだ……あんなことさせちゃダメだ。
たった1人でアニヒレートと戦って
たくさん痛い思いをした彼女をこれ以上……これ以上傷つけさせやしない。
僕の胸の内で怒りが
それは大事な人を守ることが出来ない自分自身への怒りだった。
そして胸を焼く怒りの炎は僕の左手首へと熱を伝える。
【Bond System start – up】
僕は自分の視界の中に唐突に開いたコマンド・ウインドウがそう表示しているのを見た。
それは以前に
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