第4話 天馬・天烈
虫除けの発煙筒を一本ずつ持った僕と
僕ら4人はミランダの四方を囲んで宙に浮かび、煙幕のフィールドを作り出す。
そのおかげでトビダニたちは僕らに近寄ることが出来なくなった。
これは絶好のチャンスだ。
煙幕保持役のために3人の
そして必殺の魔法を放つ準備はすでに整えられている。
「
ミランダの合図とともに彼女たちは一斉に得意の即死魔法を放つ。
ミランダ自身が放ったそれと合わせて全部で13の黒い
ドクロはアニヒレートな胸や頭に次々と食らいつき、アニヒレートは身をよじるようにして大声で
「フグゥゥゥオオオン!」
それは苦しげな悲鳴だった。
アニヒレートのライフゲージにダメージ・ログが表示され、13発中5発が命中したことを示していた。
ライフがおよそ5000ほど減って残り93300ほどになる。
こ、これはいけるぞ!
大きなダメージ量に僕は思わずガッツポーズを取った。
ミランダほどアニヒレート退治に適した人材はいないかもしれないな。
ミランダ自身も手応えを感じ取っているようで、すぐに次の攻撃態勢に入る。
死の
これなら強大なアニヒレートを倒せるかもしれない。
そう期待に胸
森の上空にいる僕らのさらに頭上、真夜中の星空の中をひとすじの流星が流れ落ちた……ように見えた。
だけどそれは流星なんかじゃなかった。
それが僕らの頭上に舞い降りたのだと僕が知ったのは、発煙筒を
「なっ……」
突然の出来事に声を失う僕とは対照的に、ミランダはすぐさま反応を見せる。
「何なのよアンタは!」
そう言って彼女が
顔を隠すようにフードを目深にかぶったその人物は、持っている黒い刀をブンッと一度振るうと、フードを後ろに払ってその顔を見せた。
僕は思わず目を見開いた。
「ア、アナリン!」
そう。
そこに現れたのは、南に向かったまま
なぜ彼女がこの北部地域に……?
「貴様が死の魔法を操る
「そうよ。あんたがお
殺気を込めた視線を送りながらミランダはそう言った。
僕はアナリンに斬られて落下していった
くっ!
魔力で作り出された存在とはいえ、ミランダにそっくりな
そんな彼女が
さっき空を流星のように
あれは……以前に僕が見た
だとしたら本当に
「アル。離れていなさい。あの女の
「う、うん。気をつけて」
声を潜めてそう言い合うと、僕はミランダの足手まといにならないよう、少し離れた場所へ移動する。
ミランダの言葉通り、アナリンは僕のことなんか眼中になかった。
妖精姿の今の僕のことは、魔女の使い魔程度にしか思っていないんだろう。
彼女は馬上からミランダを
「
そう言うとアナリンは黒い
ミランダは
他の
「ほう。
それがあの
この
さらにアナリンは
黒い刀身が特徴的な彼女の刀・
僕はその刀を見たことで、昨日の彼女の戦いぶりを
アリアナもヴィクトリアもあの刀で斬られて痛い目を見たんだ。
「邪魔すんなっつってんでしょ!」
そう言うミランダの声に呼応するかのように、12人の
だけどアナリンを乗せた黒い
そしてこちらに向かって一気に急降下してきた!
「
身構える間もなく、3人の
くっ!
やっぱりアナリンは強い。
あれだけの速度で突進しながら、その刀で正確に
アナリンは再び空中で
「そういえば今日はお供の兵士はいないのか? アルフレッドとか言ったな」
アナリンは知らない。
こうして女の子の、しかも妖精の姿に変身している僕こそがアルフレッド本人だと。
ミランダは
「……あんた。私の家来を
「フンッ。あの男。なかなかのタヌキだな。
ええっ?
アナリンはあの時、そのことを知らなかったはずだけど……どうして分かったんだろう。
もちろん知っていたとしてもおいそれと話したりはしない。
でもその時は気付かなかったけど、僕がアナリンに襲われた場所のすぐそばの
あの場はやり過ごせたけど、後になってバレたってことか?
やっぱりアナリンは何らかの手段でこっちの出方を
油断は出来ないぞ。
そんな僕の内心を
「次に会ったら舌を切り取ってやると言ったのだが今日は貴様と一緒ではないのか。口惜しい」
一緒です!
一緒にいます!
絶対に言えないけど!
舌を切り取られるとかマジありえないから!
「あいつはとっくに避難させたわよ。今回は役に立ちそうにないからね。ただ、私の家来に危害を加えようだなんて、いい度胸じゃない。この私をナメてるってことね」
「ナメてはいないが、
「それがナメてるってのよ!」
ミランダとアナリンの初対戦を僕は
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