第6話 空から降る光
次々と空から降りそそぐ謎の
ガレー船は弧を描くように回避行動を取るけれど、いくら脚の速い船でも高速飛来する火球を避け切ることは出来ずに次々と被弾してしまう。
僕はジェネットの法衣の
「まずいよジェネット! このままじゃ船が沈められちゃう」
「ノア! 手伝って下さい! ヴィクトリアは甲板で迎撃を!」
ジェネットの声にノアはすぐに応じて空中に浮かび上がり、ヴィクトリアは素早く両手に2本の
「ジェネット。上空からの
「我々があの船を追うことを嫌う
「それはアナリンの仲間ってことだね」
「ええ……来ます!」
ジェネットの声で反射的に見上げた上空に浮かぶ雲の中、何かが光った。
そうかと思うと、あっという間に
「
反射的にジェネットは
光り
その二つがぶつかった
「くっ!」
「ひえっ!」
頭上で起きた爆発の衝撃は強く、ジェネットはたまらずに顔を背ける。
そんな僕らから十数メートル離れた空中に浮かぶノアは、
「ノア!」
あの
でもその正体は一体何なんだ?
爆発で巻き起こった白煙の中から出てきたノアはノー・ダメージだった。
さすが防御力ナンバーワンの竜人ノアだ。
彼女の
ノアは平然とした顔で頭上を見上げると、
当然、激しい爆発が巻き起こる。
「ノア!」
さっきは槍で叩き落としたからノー・ダメージだったけれど、体でまともに受けた今度はいかにノアといえどもダメージを負ってしまっている。
といっても彼女の特徴としてライフの総量は7と極端に少ない代わりにダメージは1ずつしか受けないので、まだ6/7のライフが残っているんだけど。
だけど彼女がそんなことをしたのには当然、意味があった。
「
爆発に耐えたノアはその
彼女の持つそれは上半分が爆発して吹き飛んでいるけれど、下半分は金属で
「原理はよく分からぬが、これが発火体となっているんだろう。吹き飛んでいる上半分には衝撃で誘爆するように爆薬でも詰めておるに違いない」
そう言うとノアはそれを放り捨てて、頭上に向けて得意のブレス・
白と黒の
「こ、これなら迎撃できるね!」
僕は
「そう簡単にはいかないようだぞ。アルフリーダ」
「降り落とされないよう、しっかりつかまっていて下さいね。アル様」
彼女たちの言葉の通り、上空の雲の中にいくつもの光が
それは3つ、4つ、いや……10は越える数だ!
迎撃し切れないそれらがいくつも海面に落ちて爆発し、盛大に水柱を立たせる。
その水柱の合間を
「オラアッ! ナメんじゃねえ!」
もちろん歴戦の武器である
だけど雲の上から舞い落ちてくる
このままじゃ対応しきれないぞ!
「ノア! 船の真上で迎撃態勢を取って下さい! 私は狙撃手を
ジェネットはそう言うと
彼女の上位スキルである必殺の魔法が炸裂するのが分かった。
「
そう言ってジェネットが
彼女の放つ
だから雲の中ではすでにジェネットの魔法が敵の攻撃とぶつかり合って相殺されている。
あの爆発はそのせいだ。
そしてもしあの雲の中に
それがジェネットの
だけどその
雲の中の爆発のおかげで
そして爆撃の主は一向に姿を表さない。
ジェネットの
僕が困惑していると、不意にノアが声を上げた。
「ジェネット! 天空の敵は捨て置け! ノアが船に直撃しそうな火球だけを迎撃する。そなたは敵船を追え! 今はとにかくあの船を逃すでない。せっかくここまで追い詰めたのだからな」
そう言うとノアは船を守りながら飛び、
そうだ。
敵の船を追っている今、上空の敵にばかり気を取られているわけにはいかない。
「ノア! 決して無茶をしてはいけませんよ! ガレー船を守ることだけに集中して下さい!」
ジェネットの言葉に分かったというようにノアは一度槍をブルンと振るって見せた。
この集中砲火の中、ノアのことは心配だけど、簡単にやられる彼女じゃない。
無理さえしなければ大丈夫だろう。
確かにノアの言う通り、このままじゃ敵の船に追いつけない。
次々と降り注ぐ
ガレー船は敵船を追ってまっすぐ進み続けるから、上から見れば格好の的だ。
かといって光を避けようとして
そんなジレンマを解消すべく、ジェネットは一気に空を飛行して敵船へと向かった。
「行きますよ! アル様!」
「うん!」
単独先行になるけれど、とにかくあの船に取り付いてその進行を止めなくちゃならない。
ジェネットは海風を切り裂くように高速飛翔し、一気に敵船に接近する。
後ろからは追いすがる様に炎の爆撃が追ってくるけど、ジェネットはそれらをくぐり抜けて敵船まで100メートルほどまで迫った。
ここまで近付くと、奇妙な船の全容が見えてきた。
「何なんだ? あの船」
その船は僕の知る船とはまったく異なる姿をしていたんだ。
流線型の黒い鉄の
いや……流線型の頂点となる場所に小さな見張り台のようなスペースが設けられていて、そこに1人の人物が立っていた。
その人物を見て僕は思わず息を飲んだ。
それは刀を腰に
「アナリンだ!」
そこに立って僕らを見上げているのは確かにサムライ少女・アナリンだった。
やっぱりあの船に乗って逃げ去ろうとしているんだ。
その時、僕の目を通してこの状況を見ている王都の神様から通信が入った。
【あの船はこのゲーム世界には存在しないが、潜水艇という船だ。水の上ではなく水の中を進む船なんだ。あのアナリンが立っている
神様からのその説明をすぐにジェネットに伝えていると、僕らの見ている前でその潜水艇は海中へと沈んでいく。
そして
「逃がしません!」
ジェネットはそこで素早く
天空から降り注ぐ光の矢は敵船に襲いかかった。
もちろんあの船に王様が捕らえられているかもしれないのはジェネットも分かっていて、彼女は船体に損傷を与えないよう光の矢をコントロールしていた。
アナリンはいち早く船内に潜り込んでしまったけれど、彼女が閉めようとした出入口の
「やった!」
「強行突入します! アル様。つかまってて下さい!」
ジェネットの言葉に
ジェネットは停止した船目がけて急降下していった。
そんな僕らを撃墜しようと上空から
くっ!
何て数だ!
後方のガレー船じゃなくて僕らの方に集中して
まだ見ぬ爆撃の主は船に近付く僕らを何が何でも排除しようとしていた。
「うわわわわわっ!」
すぐ間近に
そして素早く自分のアイテム・ストックから何かを取り出すと、それを開いたままの潜水艇の出入口に放り込んだんだ。
「アル様! 目を閉じて息を止めて下さい! 突入します!」
そう言うとジェネットは
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