第21話 根回し

来週の金曜日は発表がある。だから、それまでには萌里さんをアイツから取り戻さなければならない。

今日は、山童根市長である市川いちかわ 孝宏たかひろ市長に会いに、市役所に行こうと思ったが、今日は閉庁日だった。

なので、市長の事務所と両所宮りょうしょのみやと地元に人に呼ばれている「白粉小里両所宮おしろいおさとりょうしょぐう」のある両所町にやってきた。

近所に住んでいる市議会議員の井上 一成かずなり先生経由で事前にアポは取っている

ピンポーンとチャイムを鳴らす。

「お、君が連絡くれた大田原くんですか。おはようございます。」と市長が挨拶した。

「はい。大田原です。今日は、寺田萌里の虐待についてお話したいと思い、お尋ねしました。」と敬語で話した。

「はは、別に敬語じゃなくてもいいですよ。固くならずにいつもどうり。その方が色々楽でしょ?」とフレンドリーに話してくれるいい市長さんだと確信した。

ちなみに、この市長、東京で経済産業省の官僚をやった後に、退職して銀座でおにぎり屋をやっていたらしい。今でも、広尾神社とか色々な所のお祭りにおにぎり屋として出店している。そのため、市民目線の市政で多くの支持を獲得している。

そして、諸々を説明した。

「分かりました。では、関係各所に連絡し虐待の証拠を集めてみます。学校には恐らく発表のある前日までには来れるようにさせます。」と市長が言ってくれた。

「ありがとうございます」と感謝した。

そして、その言葉通り、前日である木曜日に萌里さんが登校していた。

-続く-

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