新・世界より
東洲斎 零
トアル家族
世界が荒廃としてから、人間は日に日に減少傾向にあることは容易だった。
人がいなくなった街並みは、朽ち果て、苔むして、樹海に侵され、肥大化した害獣や害蟲たちの住処になっているのが顕著だ。
私は、人がいる場所がないかと探しているとこの街の丘の上にほうに煙が立ち込めている学校が見えたたため、そこへと向かった。
「……」
学校の校舎は、ボロボロとしていおり、壁際には銃痕が無数残っていた。爆破物を使われたりしたのであろうか?火が付いていたり、黒く焦げていたり、教室半分が吹き飛んでいたりして、荒んでいる。そして、地面には余すことなく赤い血で染まっていた。
その光景をみた私は絶句した。
(生臭い…、 生存者はいるのか?)
だが、奇妙なことに死体がどこにも見当たらない。
「……」
生存者がいるかを調べるためボロボロとなった校舎の教室を隅々をみて回ることにした。
廊下の割れた窓から、夏の涼しい風、蝉の声、葉のせせらぎが聞こえてくる。
崩壊する前の平和な日常を思い出しながら教室を見回りしていると、どこからともなく叫び声が聞えはじめ、全身から鳥肌が立ちはだかった。
「ハッ!」
瞬時に、危険を察知した身体は、筋肉がこわばり、冷や汗をかき、緊張が走った。そばにある散弾銃の引き金を人差し指で当てて、ゆっくりとあたりを見回した。
「やつらか…?」
しばらくすると、今度は、不気味で野太く重低音の声があたりを駆け巡った。
私は身の危険を感じ取り、急いでマスクを取り付け、臨戦態勢の状態で校舎から離れることにした。
学校の玄関口で顔だけをだして左右前方を確認して、異常がないか調べた。
ただただ、外は青い夏空が広がっているばかりだ。その中を小さな鳥が悠々と飛んで見せている。
一見、平和のようにすら見える夏の光景だが、今は、逆にそれが気味が悪くてしかない。
私は、散弾銃を構えながらゆっくりと歩き出す。
足で三歩目を歩いた瞬間、何かのボタンを押したかのように断末魔の叫び声が校内中に響いた。
「ぎゃああああああああーーー!!」
その叫び声が聞こえたのと同時に、体育館の天井付近で粉塵爆発が起き、機銃などで打つような銃声が聞こえ始めた。
「⁉︎」
私は、驚いてたのもつかの間に急いで体育館のほうに向かった。
体育館に近づくにつれ、銃弾を放つ音とさっきの不気味で野太い声と女性たちの甲高い叫び声が響いている。
厚い鉄の扉があり、開こうとしたがどれも、開こうとしない。
数秒後、女性の声がヒステリック気味にドアを叩きながら叫びだした。
「助けてぇ‼︎助けてぇ‼︎助けてぇぇ‼︎助けてぇぇぇぇ‼︎いやぁ‼︎やめてぇぇぇ‼︎」
体育館でなにかを引きづられるような音が聞こえた。
仕方なく持っていたレーザー刀で円を描くようにして、焼き切り、円の中心を足蹴して、ようやく体育館に入った瞬間だった。
高さ3メートルくらいの巨大なムカデが泣き叫んでいる女性を目の前で上半身のを喰い千切る瞬間を目の当たりとした。
喰われた彼女の血しぶきが私の体に飛び散った。
上半身が食いちぎられると、機銃を携えたまま、だらりとして死んでしまった。
ムカデは、器用に足で人肉をおさえながらむしゃぶりつくように堪能し、人の骨を噛み砕く、バリッ、バリッとした不気味で不愉快な咀嚼音を出しながら喰っていた。
「クソ‼︎」
私は、持っていた散弾銃で百足の黄色い左右の目をめがけて、撃ち放った。
乾いた音を帯びた弾丸は、百足の両目めがけて撃ち放った。
巨大な百足は撃たれた後に、体を右往左往とくねらせて、怯んだ。
怯んだ弾みで、ムカデが食べかけの下半身を投げ捨て、そのまま、もがいている。
ムカデの左目は、確実に撃ち抜いていたが、右目は下に外れて、失明していない状態だった。
「くッ!」
私は、すぐさまにポケットから、散弾銃に弾を装填した。
不気味な重低音の鳴き声を出しながら、私に気づき、今度は、半狂乱気味に私めがけて、襲いかかった。
鋭い嘴が私の腕をかすめ、皮膚の一部が溶けた
「痛ッ…‼ッ…。」
瞬時に避け、ムカデの背後に回る
ムカデは、私に襲いかかった勢いで、ドアにぶつけて、頭を打ち、あの厚い鉄のドアをいとも簡単に吹っ飛ばして怯んだ。
私は、ムカデの振り向きざまをねらうため、手榴弾を手に取り、散弾銃を構えた。
ムカデは私に向けて、口を開けて威嚇をし、臨戦態勢を整え、また、私に襲いかかろうと飛ばしてきた瞬間がきた。
( 今だ…。)
手榴弾をムカデの顔面めがけて投げつけ、散弾銃で撃ち放った。
散弾銃の弾が手榴弾にあたり、激しい爆発が起き、ムカデの顔面が吹き飛び半壊した。ムカデは、その場で倒れると、足ををピクつかせ、ムカデの顔面から黄緑色の液体を垂れ流して、腐乱臭が立ち込め始めていた。
よく見ると、腹部の裂け目から消化しきれていない人の手、目玉、毛髪、歯など喰われた人の一部が大量に百足の体液とともに垂れ流れてきた。
( ガスマスクを持っていてよかった...。)
ムカデは、どうやら体育館の地中から出てきたようだ。巨大な穴が一つポッカリと大きく開いてあり、そこからきたのだろう。
あまりここに長居はしないほうがいいだろう。
「……」
私は、名も知らない女性の亡骸に近づき、遺体をどこかに埋めてやろうと考え、近づいた。
すると、女性の右ポケットからに写真がはみ出しているのに気がついた。
写真を見ると、三人の親子が写っているものだった。
一人は、この女性だ。
もう一人は男性。眼鏡をかけている。
もう一人は可愛らしい少女だった。
( 家族か...。)
私は、生存者がいるかもしれないため体育館内を探しはじめた。
一番目に入ったのは、体育館準備室と書かれた場所だった。
準備室の入り口のドアが半開きになっており、そこの地面に何かを這っていくように血がべっとりとついていた。
私は、そこに向かい、半開きになっているドアをゆっくりと押して、中を覗いた。
この家族が使っていたであろう生活必需品が置いてあるすぐそばに、下半身をやられている眼鏡をかけた男性がうつ伏せになって倒れているのを発見した。
私は近づき、彼の脈を調べてみたが当然、動いていなかった。目をカッと見開き、涙を流して死んでいた。
( もう一人は?)
私は、探そうとした時、父親が何かを持っていることに気づいた。
「あ…。」
彼の両手には、少女の頭部を大事そうに抱えていた。
「……」
私は三人の遺体を丁重に外に運びだしだ後、ポリタンクのガソリンで、巨蟲にぶっかけて、体育館から出て、あの父親の胸ポケットに入ってあったジッポライターを外から投げ入れた。体育館は、爆ぜながら炎上した。
家族は、校庭のど真ん中に穴を掘って、三人一緒に埋めた。
三人一緒に幸せそうに映る写真を添えて。
土を被せた後、小さな石を置いた。
「名も知らない家族の皆さん、生きるため、倉庫にある食料と水と武器をもらってい来ます...、どうか、安らかに。」
私は、両手を合わせて、私の安住の地に向かうためこの場所から去った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます