第3話  案内

寮に着き、自室と案内された場所は一番上の階だった。


「あのここって・・」

「ハイ、貴方の思う通り、特待生に割り振られる部屋です」


見渡した部屋は一人部屋にしては広く軽く、人が4、5人は住んでも問題なさそうな部屋だった。使われている家具もどれも値の張るものばかりだ。


「何故、自分がここなんですか、リズさん」

「そうですね、貴方が優秀だったからですと言いたいところですが、理由は簡単です。貴方の入学が急遽だったので部屋を用意できなかったのです」

「なるほど」


(どんだけ、無理やり入学を取り付けたんだ、あの親父)


幸か不幸か、一番豪華な部屋を使わせてもらうことになったがそこでフェリクスは一つ心配することが思い浮かんだ。


「リズさん、これ入学金です」


フェリクスは渡し損ねていた。入学金を渡した。これだけの金額で一般家庭なら軽く一年は贅沢に暮らせる。平民でも裕福な家庭にしか、この学校には通えないだろう。


「確かに」

「この部屋の料金とかはかからないのでしょうか」

「それは特にかかりません。しかし、食事や風呂は共同になっていますのでそこはご承知おきください」

「はい、むしろ僕はそれで構いません」

「他に分からないことがあったら、聞きにいらしてください。では明日の入学式で」


それだけ伝えるとリズは部屋を出て行った。


リズさんが出て行った後、フェリクスはどっと疲れが出て来た。思い返せば、父親から家を追い出され、野宿しながら、王都に辿り着いたが道中は硬い土に寝るしかなく、熟睡もろくにできなった。


「取り敢えず、寝るか」


フェリクスが大の字で寝ても2、3倍あるベットにフェリクスは飛び込むと睡魔に身を任せた。

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