第二節:虹の問題点

 一番問題に上がったのはやはり歩兵戦闘力と車両戦闘力であった。


 航空団そのものは持てないし、何よりも積載できる艦が無かった。


 だがやはり異界では人手不足の感があり補給など来なかった。


 歩兵を訓練するのにも突貫でも一年、普通に訓練するなら三年は見込まねばならなかった。


 M・Mは機数が揃ったが、車両七個大隊分など到底揃わなかったといえよう。


 歩兵用の装備や武器も足りていなかった。


 いままでM・Mだけで戦をしてきたのだ、それは当然だった。


 徴用しようにもココは異国で兵士になれるようなものは居なかったのである。


 ギリギリ国境線近くの放棄されたシティーを使えているとはいえ、隠れるにもギリギリだったのである。


 異界に仮に行けたとしても、戦力は揃わなかったであろうと思われた。


 それほど向こうは悲惨な状況だったのである。


 この前の通信でもエテリウム国家群では反乱がおこっていたし、シルヴァ国側では音信不通だったのだから。


 異界でそれなのだ、後は人造戦力に頼るしかないと思われた。


 機械兵を使う方法である、作ってプログラムさえ流し込めれば行けるし数もそろうと思われた。


 問題になりそうなものといえば魔導電子戦である。


 それをやられると、機械兵は自身の判断により勝手に行動する可能性が考えられた。


 あと車両大隊もである。


 機械兵で組んでしまえば人員は必要ないし全て弾で埋め尽くしても問題ないと思われたのであった。


 辛うじてこの放棄されたシティーには、アリシア社の生産ラインが残っていたのだ。


 そこにつけ込む以外方策はなかったのである。


 現にスーパーベイビーの研究はそこのラボで行っているからである。


 後は通常の鉱脈さえ発見すれば行けるはずであった。


 後、艦もこの放棄されたシティーでは造れるようであった。


 ただやはり資材が足りていないのであった。


 どれを見ても資材が足りないのである。


 手持ちの資材では無理があるので、どこかの鉱脈を押さえねばならなかった。


 比較的近くに大きな鉱脈はあった、ペテラネグロ鉱脈である。


 ただし、ギルド管理下のデンジャーゾーンにある鉱脈ではあった。


 ただそこは今カイラズ国とグランシスディア連邦共和国が、血眼ちまなこの争いを繰り広げている最中だったのだ。


 ココに我々がいるのを知られるのは不味かった。


 そういう意味合いで、別の鉱脈を探さざるを得なかったのである。


 戦闘に慣れてきた虹のM・M部隊から探査部隊を、国境線を越えないように上手く捜索範囲を広げつつ伸ばしていく方法しかないと思われた。


 またL-FPT-TMS型に一個中隊と探索機を載せて、五方向に向かって探索するしかないと思われたのである。


 また艦船には、光学迷彩を常時展開しておくことが望ましいと思われた。


 これにより艦船の部隊にも常時の訓練代わりになると思われた。


 またこの拠点に残るのは、五個大隊三中隊と指揮中隊である。


 何か起こっても対処たいしょはできそうな数だったが、兵の練度に問題があったといえた。


 成績優秀な兵から実戦投入するのだから、仕方がないといえた。


 残るのはまだ成績が伸びない兵だからである。


 それに、七個大隊の内の指揮官五名を付けなければならないのである。


 新兵だけの部隊に命令するのは、荷が重いと判断したからであった。


 それだけ判断が、重要になるということでもあったのだ。


 鉱脈が発見できても何か居るようであればそこは使えないのである。


 滅ぼせれば滅ぼしてもいいが、時間の問題でバレるであろうことは想像にかたくなかった。


 だから念を入れて、誰も探し切っていないデンジャーゾーン上の鉱脈を探さねばならなかったのであった。


 そのせいで、貴重な五年もの時間が費やされたのである。


 鉱脈そのものは見つかったが時間がかなりっていた。


 見つけられた鉱脈は三つで種類はそれぞれに違うものであったが、機械兵を作るのに欠かせない重要な鉱脈が二つも見つかったのである。


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