第十五節:ナイツギルドと青い閃光

 十五分後、エルフの剣士が現れた。


「アイン交代だ」といって左手同士で握手を交わすと「こちらが、アスカ君と、クララさんだ」といってフレンドリーに紹介してくれるが自分からも「アスカ・ジークレフですよろしくお願いします」と左手を差し出す。


 同じように皆左手での挨拶が、普通の様に、「コールマック・ウィンダムだ宜しく、俺は、ちょっと変わり者でな、精霊剣士をやっている」と答えてくれた。


 あまり聞かないなと思っていると、オリジナルの複合剣士だよともいってくれた。それで理解が早まった。


「では、ナイツギルドに案内して来るよ」といわれ。


「総長なら十五時ころには戻るっていってたぜ」と答えてくれた。


 今から二十分はある、余裕で会えそうだった。


「零零番に、止めてある年代物がそうです」といいながら、歩いて行く、


「アインセリオさんも」というと、「アインでいいよ」といってくれたので。


 しかも、初めて来て零零番か。


 度胸も、あるなと思われたらしい。


「まあ、移動速度は早くないので、そこは悪しからずってところですけどね」という。


「年代物だが、使いこまれていていい味が出ているな」といわれたので、


「伯父のを、もらって来てしまったんですけれどもね」と答えるにとどめた。


 さっき居た、エルフの警備員さんは、かなり遠くで案内していた。


「先ほどは、あのエルフの警備員さんにお世話になったんですが、名前聞きそびれてしまいましてね」というと。


「あぁアレクのことか、本名アレクサンドリア・スクワイアシュレイ、長いのでみんな省略して、アレクって呼んでる気の良いヤツで人懐っこいからな」といった。


 そして、FPT専用線を走ること十五分でナイツギルドまで辿り着けた。


 当然『データパッド』には、行き道や走ってきたルートも、記録させてある。


 ナイツギルドか、ここが初めての舞台かと思っていると。


「そうそう、ギルドの正騎士団がギルドナイツで、ナイツギルドとは逆になってるんだよなー、覚えておくと損はないよ」と言われた。


「ギルドの部隊は実質四区分けされて居てね、上からギルドナイツ正騎士団、準騎士団、支部隊、ナイツギルドとなっててね、でも準騎士団は爵位を問われないから支部隊のほうが上とされているので実質はギルドナイツ正騎士団、支部隊、準騎士団、ナイツギルドなわけだが」とアインがいった。


「総長だけは話が違うんだな、正騎士団位よりも上にナイツギルドの総長が居る。何せ総長は、剣聖ソード・ホーリーだからな」というと。


「あー、ひょっとしたらですが見たら、顔は知られているかも知れませんね、一緒に戦ったこともあるので、乱戦でしたが」というと。


「どこの、内戦で戦ったんだ?」と言われたため、「聖宮殿でのタランチュラとの戦いですよ。そのころは神官戦士でしたから」……といった訳で。


「一階の端っこに、空きがありますねFPT用の」というと。


「よーっし、空いてるところは先に取ったもの勝ち」と言われたのである。


「確保~」というと。


「よし停止させます」と僕が言った。


「OKですよー」とクララ嬢が言う、「さて降りて見ますか。必要なものはありますか?」というと。


「我々の必需品は魔導光剣位だ」とアインが言ったのでそれに、ならうことにする。


「たまに、太刀持ちも居るからぶつからない様に気をつけること」と言われた。


 酒場というか、ナイツギルドに入って行ったわけだが、


「流石に、この時間はヒトすくねぇなぁ」とアインがいうと。


「そりゃそうだろう、一様酒場って形式にしてるんだから」とマスター。


「と、新入りだな名は?」とマスターに聞かれた。


「アスカ」と答えた


「そちらのお嬢さんは?」と言われた。


「僕のパートナーでクララといいます」と答えておいた。


「僕かぁ、まだ角が取れてないなー」とアイン嬢、


「僕だと不味いですかね」と言うと、時計が三時の鐘を鳴らし始めた。


“カラン”といい音を鳴らして数人、入って来た。


 迫力が、あった。


 猛者に見えたが、「アジー、酒をくれ冷たい冷やっこいヤツを頼む」、

「全く、新入りが見てるんだぞ。もうちょっと、シャッキリせんか」、

「んなこといってもなぁ。暑いもんは暑いんだ」というと、

「アイン嬢の隣のかわいこちゃんかい?」、

「そっちはパートナーだそうだ」とマスターがいう。


「マスター、冷たい冷え冷えのバーボンを、上で」と言いながらマネークレップをさっと出して、リーダーに自らとおして即刻払うと。


「クラッシュドバーボンでもいかがですか?」と、サラリと総長と思しきヒトの前に置いた。


「アスカ・ジークレフと申します。以後、お見知りおきを」といってすっと下がる。


 そしてクララ嬢の隣まで行ってサッと座ったのだが。


 流石に今のはマスターに見えたらしく。


「ワイトラウドの青い閃光……」というマスター、「噂ってすごいですねぇ、もうそんなに尾ひれが付いているんですか?」と聞いた。


 アイン嬢が凍り付いていた。


「まさか、そんな新人だと思って連れて来たのに、手練れどころか、銘付だったなんて」


「本物か?」


「アレはマジもんだ! あのコードは、王を倒し、裏切り者と悪魔ごと一瞬で斬ったとされる」とマスターがいう。


「白い閃光は、今だワイトラウドから出てはいないが、青い閃光はワイトラウドから聖ワイトラウドになる前に出たらしい、とは聞いていたが。マサかこんなところに居ようとは……」というマスター。


「んー、どっかで見たような気がするんだが。確か、二年前の聖宮殿に、居なかったかい。俺も、この職業やってると、物覚えは良いほうでね」と総長がいった。


「確か、タランチュラ戦の時の聖者を導き戦っていた、青と白の神官戦士」と総長がいう。


「御明察のとおりですよ。私は青の神官戦士にして、時の王を倒し、私服しか肥やさなかった。貴族と私兵と悪魔を斬った……それだけの話ですよ」と……。


「あの、タランチュラ戦の直後の話なのですよ。……その話は……」と私が続けた。


「まあ、そんなヤツですが、よろしくお願いしたく」と私が立ちあがる。


 そして一礼をする。


「まぁここに来ている以上、神官戦士団は辞めて来ている訳ですがね」と私。


「でまぁ食い扶持と、MMの整備費を稼ぐ前に、少し学んでからでないと思わしくない項目がありましてね」と私が言う。


「魔剣士やるのに、魔法が使えないのは、不味いんじゃないかと思いましてね魔導士ギルドに殴り込もうかと、思っている次第なのですが」私がだんだん饒舌じょうぜつになっていく。


「まぁ導師資格と教師資格取ったら、私はすぐに戻りますのでご安心ください」と私が続けた。


 というと、「総長有望な新人が入りましたね」というヤツも居れば。


 あんまし目を合わせず隅っこのほうで震えているヤツが居たりと。


 皆さん個性的ですね、と思ったが表面には出さなかったので、特に問題は起こらなかったりしたのだが、唯一僕から私に口調が変わってしまったのである。


「アスカ口調が、僕から私に変わってるぞ」とアイン嬢が冷静に突っ込んだが治らなかった。



第九章:過去話後編 第十六節へ

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