ラブレター?いいえ勧誘です!

「詩音は部活に入らないの?」


「私?私は入らないわよ?」


詩音は即答した。


「えーなんで!?」

「詩音なら軽音楽部やコーラス部でもいけるんじゃない?」

「あー私は人と合わせるのが苦手でね。バイトもあるし部活はパスかな?自由に動けるストリートライブで十分よ」


詩音はエアギターの真似をしてババンッと言った。


「うん!詩音は格好いいから良いよね!」

「でも、部活勧誘が凄そうね・・」


詩音は首を傾げた。


「部活勧誘?」

「もう学校が始まって一週間でしょう?部活勧誘が始まるわ!詩音はすでに全校生徒に知れ渡っているから勧誘が凄いわよ~♪」

「なんで?私は運動神経は良いけど音楽しかやらないわよ?」


チッチッチッ!


「甘いわ!シロップに蜂蜜と生クリームを混ぜるくらい甘いわよ!?」


なんだってーーーー!?


「なんでだよ!?」


香織はビシッ!と詩音を指差した!


「詩音!貴女は桜ヶ丘学園のアイドルなのよ!」


アイドルになったつもりはないよ!?


「詩音というアイドルが入部した部活は注目され、新入生部員がたくさん入部するでしょう!」


私は客寄せパンダかい!?


「故に、各部活の部員達は死にもの狂いで勧誘に来るでしょう!」


こわっ!!!?怖いよ!?


はっ!?


「あっ、もしかしてアレッてそう言う事だったのか~!」


詩音は思い付いたように鞄から手紙を取り出した。


「どうしたのそれ?」

「ここ最近、下駄箱に入っていたのよ。古風なラブレターみたい」


詩音はため息を吐きながら言った。


「「「ラブレター!!!?」」」


くそっーー!いつの間にそんな物を!?


「さすがは詩音!モテるわね~!」

「まぁ、詩音だしね~」

「うん、詩音だし!」


詩音は腰に手を当てて何よ~!と怒った。そして手紙をみんなに見せた。


「ちゃんと見てよ!全部、部活の勧誘よ!なんでこんなに勧誘が来るのかわからなかったけど、ようやく香織の話しで納得いったわ!」


へぇ~詩音からの手紙を色々と見せてもらった。


「え~と、バスケ部、テニス部、バレー部ね・・」

「まぁ、詩音の身長なら妥当だけど・・え、将棋部?」

「まって、まだまだあるわ。チアリーダー部にコーラス部、手芸部?に文芸部・・あはは」


詩音と関係の無さそうな部活の勧誘も多々あった。


「香織の言う通り、詩音を入れて新入生の新入部員を増やそうとしているようね」


「だからどこにも入らないって言ってるのに~」

「でも、詩音って運動も出来るのよね?」

「うん、運動神経は良いわよ」


キュッピーン!?


「今日の体育は50メール走らしいから勝負しましょう!」


おお!体育会系のノリだね!


「良いけど香織は短距離走なの?」

「いいえ、長距離走の方だけど?」


詩音は首を傾げて言った。


「だったら止めておいた方が良いわよ」

「どうして?」

「だって私、調子の良い時で50メール走なら7秒切るよ?」


!?


「マジ?」

「マジだけど?」


香織は目をキラキラさせて詩音の肩を掴んだ。


「詩音!君は陸上部に入るべきだ!一緒に青春の汗を流そう!」


なんかキャラが変わってる!?


「だ、誰か香織を止めてよーーーー!!!!?」


めぐみを初め、小鳥や静香は目を反らした。

裏切り者ーーーー!!!!?


「こ、小鳥!貴女だって女子では背の高い方じゃない!助けてよ!」


小鳥は少し考えて言った。


「そうだね。助けてあげる!香織も落ち着いて。詩音はバスケ部に入るんだからー」


!?


「小鳥ーーーー!!!!?裏切り者ーーーー!!!!?」


詩音の叫び声がこだまするのでした。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る