第113話 登場人物紹介:その6

◆ネイクリアス=フォン=グリモワル(30・♂)


 魔導国家、東ルペラシオの国王。


 一人称は『私』。


 身長は178センチ。

 体重は56キロ。


 年齢の割に老けて見えてしまうほど僅にシワが目立ちつつも、やはり若さを思わせる美声が特徴の男性。


 本来、彼のような若輩が王位に就く事は殆どないのだが、とある理由から即位する事になってしまった。


 それは【ジカルミアの鎌鼬かまいたち】の襲撃によって前国王陛下の自分の父親や前王妃の母親、彼の伴侶で王太子妃でもあったシトリィが殺されてしまったから──。


 その後、王位に就いてからは多方面から『新たな王妃を娶るべきだ』とうるさく言われるも、シトリィ以外を愛する事などできなかった彼は後述する一人娘のリスタルとともに生きていく事に決めていたのだが。


 それは、あくまでも『昼』のネイクリアスの話。


 その頃には、すでに闇の精霊へと転生したナタナエルとの強制的な【契約】により『夜』の間は彼に主導権が存在せず、ネイクリアスは知らない事だがノエルとの毎晩の戦いを終えた後に娼婦と逢っていた事も。


 それからしばらくは、『昼』の間に自分の中にいるナタナエルと対話し、どうにか出ていってもらおうとしていたものの、そんな時にナタナエルと同じ元魔族が現れ、それを討伐した双子がいると報告を受ける。


 その双子と会った時、神晶竜が魔導国家の地下に棲んでいた事もあった一度だけ実物を見た事があった彼は、その剣と指輪の正体を一目で看破し、ジカルミアの城の宝物庫に保管されていた始神晶の欠片を託す。


 魔導国家の王族ゆえか六花の魔女と同じく六つの属性に適性を持ち、その中でも特に光の適性が強く、それを錫杖に込める事で城そのものを操る事ができる。


 ゆえに、シルドが直す必要はそんなになかった。


 適性があるのは火、水、土、雷、氷、光の六属性。


 好きな食べ物は信頼する料理人たちが作る料理。

 嫌いな食べ物は一度だけ食べた明人ディアナの創作料理。


◆リスタル=フォン=グリモワル(10・♀)


 魔導国家、東ルペラシオの王女。


 一人称は『私』。


 身長は139センチ。

 体重は35キロ。


 光を反射して宝石のように輝く桃色の長髪と、あらゆる物を見通していそうな翠緑の瞳が特徴の美少女。


 ネイクリアスが20歳の頃に産まれた娘。


 元々はニコニコした天真爛漫な笑顔が似合う美少女だったが、【ジカルミアの鎌鼬かまいたち】による襲撃が発生した十歳の誕生日に祖父母と最愛の母を失った事で笑顔は少なくなり、変に大人びた子供になってしまった。


 それでも王族であるがゆえの孤独には苛まれてしまっていたようで、どう頑張っても友達の一人すらできない寂しさに潰されかけていた時、入浴中に突然現れた白い猫に懐かれた事によって少し笑顔を取り戻す。


 ……まぁ、並び立つ者たちシークエンスだったのだが。


 その時から、リスタルは図らずも並び立つ者たちシークエンスと最も近しい存在となり、されどそれを知る事はなく。


 その無知な状態のまま、スタークたちに出会う。


 結局、最終的にはラキータの事もナタナエルの事も知ってしまったのだが、スタークやフェアトに出会ったお陰で幸いにも塞ぎ込んでしまう事はなかった。


 全てが終わり双子と別れた後も、スタークやフェアトの優しさや温もりを胸に無事の再会を願っている。


 ネイクリアスと同じく六つの属性に適性を持つ。


 遺伝したのか適性は同じだが、得意なのは雷。


 それ以外の異なる点としては、ネイクリアスと違い異常なほど魔力の流れを察知してしまう事と、まだまだ魔力の調節が未熟で周囲の魔素を乱してしまう事。


 だからか、リスタルの自室には窓がないのである。


 好きな食べ物は甘い物。

 嫌いな食べ物は辛い物。

 果物かと思って唐辛子を齧り、痛い目を見た事も。


◆ノエル=クォーツ(37・♂)


 東ルペラシオが王都ジカルミアの王族を護衛する事を主とする、シュツェル近衛師団の第十四代師団長。


 一人称は『私』。


 身長は191センチ。

 体重は96キロ。


 空色の短髪と金色の瞳が特徴的な美丈夫。


 基本的には誰に対しても敬語だが、ネイクリアスを乗っ取ったナタナエルに対しては語調を荒げている。


 魔導国家の生まれでありながら闇と光の二つしか適性を持っておらず、そんな彼を疎ましく思った生家のクォーツ家から絶縁されるだけでなく、そのまま学園からも追放されかけていたところを先代の国王陛下に拾われ、それからは近衛兵を目指して努力を続ける。


 近衛として任命された時には王都で随一の実力と才能を持つクラリアと同じかそれ以上の力を持ち、その数年後に第十四代師団長として任命されたのだった。


 その際、絶縁した筈のクォーツ家が彼に擦り寄ってきて、『お前はクォーツ家の誇りだ』と口にし、ノエルとしては跳ね除けても文句は言われない立場だったが、それでも彼はその手を取って復縁を了承した。


 本当に良いのか──と確認した先代国王の言葉に対し、ノエルは『あんな人たちでも血の繋がった家族ですから』と何とも言えない苦笑いを見せたのだった。


 その数年後に、大恩ある先代国王が並び立つ者たちシークエンスが一体に首を消し飛ばされて殺されるとも知らずに。


 勇者やアストリットと並び、この世界では数少ない光と闇を同時に纏う事のできる稀有な存在でもある。


 好きな食べ物は安く、早く、味を問わない料理。

 嫌いな食べ物は贅の限りを尽くした料理。

 何なら携帯食が主食でもいい。


◆ガレーネ(500・♀)


 風の精霊シルフから派生して生まれたとされる霊人の一種たる森人エルフにして、冒険者たちの集会所の所長。


 一人称は『私』。


 身長は180センチ。

 体重は55キロ。


 魔族との戦の影響で随分と数を減らしてしまった霊人たちの生き残りであり、かつては勇者一行との共闘経験もある、少なくとも森人エルフの中では最高位の存在。


 ……最高位というより最高齢という方が正しくはあるのだが、それを言うと本気で怒るので注意が必要。


 冒険者という職業が誕生した時に、その場に居合わせてすらいるほどの最古参冒険者の一人でもあった。


 別に聖神々教の信徒ではないものの、それでも当時に見た聖女レイティアの神々しい光に目を奪われる。


 それからは一人の女性として彼女の事を心から尊敬していたが、そんな聖女が勇者とともに命を落としたのだと地母神から聞いた事で随分と落ち込んでいた。


 その十五年後、勇者と聖女の血を引く双子に出会う事になるとは──きっと思ってもいなかっただろう。


 種族柄、風属性にしか適性を持たない。


 しかし、その圧倒的な魔力量と高い適性、何より長年の経験から最高峰の風の魔法を行使する事が可能。


 好きな食べ物はキノコや山菜といった森の幸。

 嫌いな食べ物は生魚。

 種族がどうとかは関係なく、ただ単に苦手なだけ。

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