第22話 登場人物紹介:その2

◆ディーリヒト (享年21・♂)


 18年前、天上の神々によって【勇者】に選定された、農村生まれの至って普通の平民の青年。


 一人称は『僕』。


 身長は182センチ。

 体重は平均より少し重い程度。


 栗色の髪と真紅の瞳が特徴の美青年。


 彼の家族や村民もレイティアの家族と同じく、勇者の出現を悟った魔王によって皆殺しになっている。


 彼が生まれた村には魔法の適性を調べる事のできる者がいなかった為、八つ全ての属性に高い適性を持っていた事は勇者として選定された後に判明した。


 同時期に聖女として選定されたレイティアと、集められた三人の仲間たちとともに魔王討伐の旅に出る。


 普通の青年とは言いつつも、誰よりも強い正義感を持って魔族たちを次から次へと殲滅していった。


 その道中、似たような運命を持って生まれたレイティアと恋仲になり、聖女ゆえに今は契りを結ぶ事のできない彼女とは将来を誓い合った仲だった。


 しかし、神々やその代行者さえ遥かに凌駕する力を持つ魔王との戦いにおいて、聖女一人を残して戦死。


 その際の『レイティアを一人にしたくない』という切なる願いは神々の想定を上回る奇跡を起こし、レイティアの身体に二つの小さな命を残した。


 変幻自在の剣、勇竜剣リントヴルムによる接近戦と、魔王にも迫る魔力を使用しての魔法による遠隔戦を得意とした。


 好きな食べ物はレイティアの手料理。

 嫌いな食べ物は仲間の一人の趣味だった創作料理。


◆カタストロ (???・♂)


 今より20年前、突如として天空に出現した禍々しい漆黒の城の中から現れた──【魔王】。


 一人称は『我』。


 身長は3メートル以上。

 体重は明らかに重め。


 この世界のあまねく生物を遥かに凌駕する魔力と身体能力を持って、また自らの魔力を使って半無限的に生み出す事のできる兵士──【魔族】たちを城にいながらにして操り、たった2年という短期間で世界の掌握に王手をかけた最強にして最凶の存在。


 その巨大かつ強靭な腕の一振りは海を割り、その蝙蝠の如き大翼は全てを斬り裂き、その菫色の魔力は世界の全てを絶望に叩き込むに等しい力だったという。


 敵味方を問わず過小評価も過大評価もせず、たとえどれだけの弱者だったとしても手心は加えなかった。


 ゆえに、勇者とその仲間たちに対しても一切の油断はせずに自らの全てを懸けて三日三晩の戦闘を繰り広げたが、最期は勇者とともに相討ちとなった。


 命が潰える瞬間、【闇蘇リザレクション】という蘇生魔法とともに自らの身体に眠っていた26の優秀な魔族の魂を解放し、『好きに生きよ』と最期の命令を下した。


 巨体に相応しい漆黒の大剣による接近戦、膨大な魔力にあかせた暴虐的な闇魔法による遠隔戦が得意。


 好きな食べ物は魔物の生肉。

 嫌いな食べ物は甘ったるい物。


◆ジェイデン (???・♀)


 16年前、勇者によって斃された魔族の一体。


 一人称は『俺』。


 全長は30メートル以上。

 体重は不明だが……まぁ重いだろう。


 魔法、物理を問わず全ての攻撃に圧倒的なまでの攻撃力を付与する事が可能となる、【破壊分子ジャガーノート】の称号を魔王カタストロより授かっていた。


 また、並び立つ者たちシークエンスの序列十位でもあった。


 魔王の【闇蘇リザレクション】によって他の並び立つ者たちシークエンスが時間をズラして転生する中、我先にと一番に転生。


 そんな今世での彼女の姿は、数ある竜種の中でも特に凶暴性の強い緋色の竜──“怒赤竜どせきりゅう”だった。


 竜の姿では性別を雌だと判断する方が難しいというものだが、そもそも魔族だった頃から一人称は俺だったし、身体も筋骨隆々で判別しにくかったようだ。


 当時から強者との戦いだけを愉しみとしており、魔王から各地の制圧を命令されていてもそれを無視。


 その一方、同じ人間じゃくしゃを虐げる人間じゃくしゃや、その人間じゃくしゃたちを嬉々として蹂躙する同族たちを心から嫌悪し、それらを皆殺しにしてしまった過去を持つ。


 転生後、魔王の最期を知っていた彼女は聖女が生きているだろうと推察して、15年間も探し回っていた事が功を奏して、ようやく聖女レイティアを発見。


 結果としては聖女どころかその娘たちに敗北してしまったが、二人が敵ながら憧れた勇者の娘でもあった事を知ると、満足げな表情を湛えてこの世を去った。


 魔族だった頃は闇魔法と接近戦を、怒赤竜どせきりゅうに転生してからは火魔法と火の息吹ブレス、接近戦を得意とした。


 好きな食べ物は食べ応えのある大きい物。

 嫌いな食べ物は食べ応えのない小さい物。

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