　本日は、かなり大きいお客様が来店された。獣人族に属する牛人種ミノタウロスの男性『ベー』さんだ。

　身長はかなりデカくて、二メートルくらいあったのかな。天井スレスレくらいの大きさだった。巨大な角に雄牛の顔を持つ獣色が濃い方で……雪が積もる寒さの中、白シャツ一枚に浮き立つ筋肉はムキムキだった。

　久しぶりにミノ種と会ったけど、やっぱ威圧感ハンパねぇ。

　でも、見た目こそ怖かったけど、ベーさんはすげえいい人だった。お店に来て直ぐ「俺はベコォだ。ベーさんて呼んでくれ」とか自ら愛称を言っちゃうくらいに明るい御方。

　彼は毎年この時期、越冬用の薪を採りに来ているみたいで、去年は見かけなかった俺の店が気になって来店したみたい。

　せっかくお店に来てくれたし、ここはお馴染み青空コーヒーをたっぷり注いで飲んでもらった。

　飲んだ瞬間、鼻の穴を開いて「こりゃウメェ！」とか耳を貫くような大声にビックリしたけど、気に入ってもらって何より。

　あと、ベーさんの奥さんが妊娠中みたいで、部屋をずっと暖かくしてあげるために今年は大量の薪を採っていくんだって張り切ってた。

　それを聞いたら、俺も無視できねえよなあ。

　ベーさんのために、個人用に積んでおいた店裏の薪を持っていってくださいって言っちゃった。最初は断ってたけど、押しに押して無理やりにでも持たせてあげた。

　そしあたらめちゃくちゃ感謝されて、何度も頭を下げてお礼を言ってくるあたり、本当に律儀な方だなあと思った。

　結局、何を買うわけではなくて俺が支出した形になっちゃったけど、ベーさんと話が出来たことが、どことなく幸せな気持ちになったのでプラマイゼロである。

　どうか、元気な赤ちゃんを産めますように！

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