天才は転生して魔法が使えるようになりました。(TTMT)

北原 レイ

プロローグ

私、北柳麗奈は自分の本当の両親を知らない。

多分捨てられた。

私は生まれつき氷や雪を好きに操ることができた。多分魔女みたいで気味が悪かったんだと思う。

この力は魔法じゃない。魔法だと思いたくない。魔女や魔法使いというのはどの世界でも虐げられる対象だからだ。そして物心がついたときには、人に見ているところでは一切使用しなくなった。


4歳位の私を引き取って育ててくれたのは、とある有名なマジシャンだった。私の指の器用さを見込んで施設から引き取ってくれたらしい。施設から出られて嬉しかったことだけは覚えている。

育て親の2人は凄く優しくて、色々なことを教えてくれた。

勉強やマジック、そして柔軟性やパフォーマンス能力を向上させるためにフィギュアスケート、ピアノ、ヴァイオリン。。。

氷や雪のことを話して、見せても「きっとそれは神様が麗奈に与えてくれた贈り物よ」ときらきらとした目で見てくれた。本当に家族の一員として認められたみたいですごく嬉しかったのを覚えてる。

それからは、いざとなったら氷で剣を作って戦えるようにと剣道を始めたり、氷の研究をして、そのような意思を込めればなんでも分子レベルまで分解することができるようになったり、決して溶けなくなったりした(因みにこの件の発覚後、我が家のはさみの刃は私が作っている。切れ味抜群と好評だ。)。


私は本当に頭が良かったらしく、7歳になって直ぐ、ハーバー〇大学に通い始めた。

2人は喜んでいたけど凄く心配して、わざわざ日本から拠点を移してくれた。


無理を言って大量の学部に通い、医学、薬理学、コンピュータ学、法学、毒物学、航空宇宙工学の修士号を11歳で取得し、主席で卒業した。


その後は、気の向くままに素材からパソコンを作ってみたり、ヴァイオリンやピアノを作ってみたり、1ヶ月図書館に通い詰めてみたりした。自分の知らないこともまだまだたくさんあるんだな~って嬉しくなったら中毒になって、それ以降暇なときは本を読むようになり、本も音楽に加え私の精神安定剤になった。

ファンタジーは現実逃避に。ノンフィクションは私がまだ知らない世界を見せてくれる。それぞれの曲がそれぞれの思いやメロディーがあって飽きさせないように、どの本にもそれぞれの思いや考え、知識が乗っていて、どんなに読んでも飽きない。

養父母は「やっと年相応になったわね」と好きにさせてくれた。


私も大人になったら就職しよう。それまではマジックで養父母を支えるんだ。

とぼんやりと日々を過ごしていた時、アメリカ全土を震撼させる連続無差別誘拐殺人事件が起きた。

はっきりと覚えている。前々から楽しみにしていた私の誕生日ディナーが終わって家に帰ろうとしたとき。養父母が攫われそうになった。

無我夢中で氷の剣で犯人に切りかかったのを覚えている。犯人は逮捕されたし幸い養父母は亡くならなかったが、手に傷を負わされたせいでマジックが以前のようにできなくなった。犯人はどうやらマフィアの一員で、誘拐した人員は人身売買に使う予定だったらしい。

そのマフィアの全貌はわからなかった。


――よくも私の養父母を。。。


その一心で私はそのマフィアの捜査をしていたFBIに15歳で就職した。

そして、そのマフィアの捜査をしていると、とある宝石に出会った。採れたばかりのもので、伝説の翡翠と同じ反応を見せたためボスに献上しようとしていたらしい。伝説によるとその翡翠の液を飲むと、その人の外見が20歳で止まり、不老不死になるらしい。

私はその翡翠がボスの手に渡されようとしている時に掠めとって逃走しようとした。

ただ、簡単には逃げさせてくれず、銃で撃たれた時にまだ生きていたい、養父母の所に戻りたい、と思い使用してしまった。

体にあった痛みや傷が一切消えていく、が、頭を撃たれ、意識が遠のいていく。


そして、その刹那、私は思った。『あぁ。やっぱり不老不死なんてないんだ。もう少し、家族で平和に過ごしたかったなぁ。私のヴァイオリンを養母さんのピアノと合わせたかった。。。FBIに入るって言ったとき珍しく渋ってたのになんでやめなかったんだろう。。。』

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