夕立

突然の夕立がやってくる

いつだって降るのは雨で

変わらないことに辟易する


夕立が花びらだったら

僕らは少し立ち止まるだろう

何かを思い出して

少しだけ微笑めるだろう


夕立が硬貨だったら

とりあえず痛いだろう

帽子をさかさまにして

ちょっと虚しくなるだろう


夕立が猫だったら

くるんと回って着地するだろう

撫でようとしたら走り去って

僕らは取り残されるだろう


夕立は終わって

次の夕立を待っている

濡れた路面に花びらが一つ



(「無責任」第三十一号より)

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