ウルフルフ

毎日煉瓦を運ぶんですね

きっと何かが出来上がるでしょう

けれども山道は危ないですよ

それに僕の縄張りの中です

送って差し上げましょう こっそりとですが

尻尾がくるんとしてるんですね

見たことのない形です

興味が湧いてきました

あなたは何を目指しているんだろう


煉瓦が積み上がるように

何かが造られていくことは

私の人生には 何一つないんです

だからぜひあなたには

無事でいてほしい


影で笑うのは誰ですか

あなたたちもくるんとした尻尾

下品なものは嫌いです

いいことを教えてあげましょう

私が怒った時は

この牙が光るんですよ

遠吠えしてみましょうか

肺活量には自信があります

ただ 虚しくなるのだけれど


決して口にはしませんが

私は一つ誓いました

あなたの敵になるものは

全て私の敵でもある

ずっと見守っていますから

安心して煉瓦を運ぶのですよ


(「無責任」第三号より)

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