メル友は賢者様/錬金術師?〜冷遇される錬金術師は33歳でスキルが発動!会社員のネット知識と錬金術師の努力で国を改革〜
@narumitojinntarou
一章
第1話 異世界のメル友(仮)は錬金術師。
23歳独身彼氏無し、知り合いもいない田舎に1人異動になり用事が無くてもメールする友人等居なかった私は、昨日からメル友(仮)が出来た。
メール相手は男性で歳上の33歳独身。
そして、名前はセフィール(偽名が痛すぎる件は触れないでいる)
職業、錬金術師(やっぱツッコミ待ちなのかな?とも思ったけど厨二病にツッコむ気も無いのでやはりスルー)
住んでいる所はフォルテム王国内のトーリ町(もうここまで来ると清々しくて気にもならないよ)
なんせ迷惑メールの相手なのだからこれくらい当たり前だなって感じだしね。
何で迷惑メールの送信者とメールをする事になったんだっけ・・・
ーーーえっと・・・。
※ ※ ※ ※
樹本 有理(きもと ゆうり)23歳独身の私が今いる場所は地方の田舎。
私は都会の本社で働いていたが、世界的に経済後退し地方の田舎にある支社に異動となった。
出来るならば会社としては、自主退社を期待している様子だったが都会でこの経済後退している時期に転職は辛い。それにそんなに親とも仲が良い訳でも無いので実家にも戻りにくい。
そうなると残った選択肢は地方異動しか無くなったという状況である。
人間関係希薄な私は、なんでもない事を話す相手も言ってくる人もいない。SNSも一応は登録しているけど、そこでも滅多に絡むこともない。認めたくないが、そう私は・・・この土地に知り合いも居ない・連絡取り合う友人も居ない・SNSですら会話しない『完全ぼっち』なのである。
別に顔が悪い訳でもないと思う。性格は他人に関わりたくないので難があると言える。人が仲良くなろうと1歩踏み出されて話しかけられたら、10歩遠ざかるのが私だ。
どうも他人を信用出来ない性格でそれ故に、学生時代の同級生とはメール1年連絡が来なかったら連絡先を削除してしまう。
みんな使っているソーシャル・ネットワーキング・サービスすら通知切って放置しているから、誰ともやり取りしていない。「ID教えて?」と言われたら「良いけど、通知切っているから全く見ないよ?」って返事する程関わりを持たない。
人間関わっても碌なことにはならないし、所詮人間なんか騙し騙される世界でしょ?人間関係程疲れるものは無い。身体的疲労よりよっぽどしんどい。インターネットがあったら人に聞いたりしなくていいし、人類が進化すればする程人間関係希薄になるのは大歓迎って思ってる。
そんな私が異動先の職場で友人関係を築ける筈もなく、案の定ビジネスライクな関係でしかない。
無機質な仕事を終え、帰りにコンビニでスイーツとおにぎり等を買って帰った。
まだ慣れない職場環境で自炊する気にもなれず、1か月ずっとコンビニで済ませている。
「世界経済悪化しなければ、こんな何も無い田舎で暇を持て余す事も無かったのに・・・。はぁ・・・。」
言っても仕方ない事とは思いつつ、テレビは持っていないのでノートパソコンで音楽を聴きながら独りごちる。余りにも暇すぎて全然使用してないフリーメールを削除して、新しく作り直そうと思い立ち自身が使っているフリーメールを開く。
「(わぁ〜全く開いていなかったから、えらい件数最近利用してない通販サイトのお知らせメール溜まってるわぁ〜)」
有理は削除する前にスクロールしてEメール以外が無いかザッと確認して行った。
「(まっ、今更見つけても遅いだろうけどねぇ〜)」
件数が余りにも多く10分近く見ているが終わりそうには無い。スクロールしていくのも面倒臭くなったのでそろそろメールボックス内丸ごと処分しようと、思った時お知らせ系メールで無いメールが目に入った。
『 賢者様 』
「(何これ?タイトルからすると昔の知人か、迷惑メールの2択か・・・。本文は・・・っと。)」
ーーカチカチッ
『 賢者様 最初にこの様な不躾な文面をしたためる事をご容赦願いたい
私はフォルテム国に住む錬金術師でセフィールと申します
今フォルテム国では錬金術師は下位職として冷遇されているのですが
賢者様のお国では如何でしょうか
お手隙の時間ございましたらお返事頂けると有り難いです
セフィール 』
「(んー・・・イタズラメール?迷惑メール?イタズラメールにしても私のアドレス簡単じゃないからなー・・・。ってなると、迷惑メール?サイトのリンク無いけどこういうのって、返事したらまだアドレスが生きているって事を詐欺組織が確かめるために送信しているって聞くしな。)」
実際迷惑メールはサイトリンク無くても『久しぶり〜アドレス変えたんだけど』などと本文書いて来る、本当極まりない迷惑メールがある。逆に重い負荷あるデータ延々と送り返して送信止めさせる強者や、会話の成り立たないヤバい奴延々演じて止める強者も世の中にはいるらしいが・・・。
しかし、その迷惑メールは友人関係多いから騙されて『ごめん〜誰だっけ?』なんて返事をしてしまうのであって、友人が極端に少ない有理には全く意味の無さない文面であった。
それによって幸か不幸かこの手の迷惑メールに騙された事はない。
有理はコンビニで買ったスムージーを飲みながら、メールアドレスを作り替えようと思いマウスを動かすが手を止めた。
「(・・・・・・。暇だし、返事してみよっかな・・・。日付は半年前か〜。まぁこれも欲しいものあって、一度だけ買いたかった通販サイトに登録する為だけに作ったアドレスだし。サイトくっつけて来たらアドレス消せば良いや。)」
娯楽の無い田舎で友人もいない有理は、切り捨て可能な話し相手として迷惑メールの主を選んだ。
「(どうせコイツも暇なんでしょ?だから、設定盛り盛りで迷惑メールなんか送って来るんだろうしコイツで遊んでやろっと♪なんて返事しよっかなー♪厨二には厨二で返してやらんとな!!!)」
有理は学生時代ゲームばっかりしていたので、この送信者の設定にこっちも乗ってやろうと設定を意気込んで考え有理は返信メールの作成を始める。
「(んー・・・あっちは錬金術師で待遇悪いのかー・・・クリエイター系の仕事で賃金悪いって事かな?まぁ私の事は賢者って言ってんだからそのままの設定で行こう。次に返信来たら相手に合わせて行くスタンスでいいか。)」
ーーーカタカタ・・・
『 セフィール様
メール拝読致しました。返事が遅くなり大変失礼しました。
私の名前はユーリ。質問の返事ですが、私の国にはそれなりには
錬金術師達は居ますが
何を創造するかで待遇は違うと思いますが、比較的その他職業
よりも錬金術師全般待遇は良い方だと感じています。
セフィール様は何を創造されているのでしょうか?
差し支え無ければ教えて下さい。
もしかしたら、私が助言できる事があるかも知れません。
ではまた。
ユーリ 』
「(ユーリ位なら身バレしないし良いや。クリエイターって職種とか個人でやってるかとかで賃金とかかなり変わるんじゃないのかなー・・・。製造業なのかなー・・・うーん・・・生み出すってクリエイターだよねぇ・・・他に思いつかないんだけど?)」
返事きたら解決するから気長に待っておけば良いやと、気持ちを切り替えて送信ボタンをクリックした。
それから有理は明日も仕事なので、寝支度を行い布団に入り眠った。
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