主人公と雷之丞

廊下へ出た空町。部室へ向かう。


空町「どうなるんだろ、コーチ。……

 部活をちゃんと立て直せれば、

 皆も、草馬さんのことも、

 上手くいくと思ったんだけど……

 

 あの雷之丞ってのも、……

 確かにカッコはいいけど? でも、

 何であんな目で私を……」


……


空町「ああ……キャプテンとしての私が、

 もっとしっかりしていれば……

 自分を不甲斐ないとも思うけども……」




一方、廊下へ出た主人公。校内をうろつく。


廊下へ出た主人公。


主人公「く……何とか話はつけたが……

 あの校長、自分はもう引退するから方針は

 新校長に任せるとかで……

 

 まあとりあえずはやってみては

 いかがでしょう? だと……

 あのライノ何とか?野郎……気に入らん」


雷之丞「まあ赴任したばかりだ。まずは、学園内を

 色々見て回ることだな。普段は生徒として

 籍を置くことになったんだし」


主人公「げっライノ……」


雷之丞「雷之丞・ライラル・ラリーテルだよ。フ」


主人公「げっ雷之丞(面倒くせえ)!

 おまえも赴任したばかりだろうが……

 ってか生徒でって、まじでそうなったのかよ!」


雷之丞「フ……」


主人公「……はあ?(イラッ」


雷之丞「さっきの子――空町まちのくんという――

 あの子が我が学園のTACTIC部キャプテンだ。

 彼女に色々相談してみるんだな」


主人公「何でおれが……」


雷之丞「なかなか、可憐かつキュートな子じゃないか?」


主人公「……知らん。

 こっちはそれどころじゃないんだ」


雷之丞「君も、残念な子だね。

 目の前にあんな女子がいて、君も少年なのだ。

 謳歌しなよ? なにすぐに慣れるさ」


主人公「だから、子じゃない!」


雷之丞「それから副キャプの草馬 灯くん、

 という――この子は部のエースなのだが、

 現在は部活動を自主的に休んでいるようだ」


主人公「風邪かなんかじゃねえの?

 季節の変わり目だし?」


雷之丞「いいや、そうじゃなくあの子は……

 ふむ? 季節……なるほど季節、か。フ」


主人公「……?」


雷之丞「そういえば、こんな《ハザマ》の学園にも

 季節というものがあるとは、

 嬉しいことだね」


主人公「は……はあ」


雷之丞「こんな辺鄙どころじゃない任地に飛ばされて、

 季節の移り変わりと女の子を愛でることくらい

 楽しみたいものだよ」


主人公「………………

 あー……わかったわかった。とにかく、

 じゃあおれは好きにやるからな。

 とりあえず売店はどこだ。腹が減った」


雷之丞「生徒としてのルールは、守ってくれたまえよ。

 すぐそこに校内の地図がある」


主人公「じゃあな」


主人公、立ち去る。


雷之丞「フ……無粋だねえ」

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