職場のお姐さん

 職場のお姐さんとの会話。このお姐さんは天然ボケ気味なのかおっちょこちょいキャラなのか、世間一般では「おばちゃん」と呼ばれるお年頃ですが可愛らしい方です(と書いておけば多少の事は丸く収まるであろう)。


姐「この前な、スーパーのパンコーナーの前を通ったら」

京「生クリームたっぷりのパンが売ってて、思わず買って食べて美味しかったんですね? で、体重が気になって気分が沈んだけど『まぁ、いいか』と開き直ったその先を聞こうか……」


 このお姐さんは私の小説に出てくる黄色いシャリィに乗ったデニムおばさんのモデルです。


姐「むぅ……それが一昨日で、昨日はキャラ〇ルコーンを食べてたんやけど」

京「それで昨日はお弁当の中身が野菜中心だったと」


姐「気が付いたら袋の中に何も無かってん」

京「それは『全部食べた』って言うんです。キャラ〇ルコーンのカロリーを知ってます? キャラメルでコーンで豆ですよ? キャラメルコーンは甘いとしょっぱい、しかもお口直しに豆まである日本のお菓子で最もダイエットに向かないお菓子ですからね、そんなもん一袋も食べたらアカンがな」


 そうです、キャラメル〇ーンは糖尿病患者にとって危険なお菓子の一つなのです。しかも口に居れればとけてしまう歯ごたえの無さ。超高カロリーなので「口の中で溶けるからカロリーゼロ」では通じないのです。


姐「しかもな、(大きさが)三倍の奴」

京「何ですかその『量産型とは違うのだよシャ〇専用』は?」


 この姐さん、でっかい某コーンを一袋食べてしまったのです。


姐「美味しかってん」

京「でしょうねぇ」


 美味しかったそうです。知らんがな。


姐「私はどうしたら良い?」

京「とりあえずスーパーのパン売り場とお菓子売り場に行かんようにしましょか」


 このお姐さん、生クリームの仕入れ先の五割がスーパーのパン売り場じゃないかって感じです。のこりの数割がコンビニでしょう。


姐「晩御飯のお買いもんせんと冷蔵庫の中が空やもん。仕方がないから夕方に買い物してたらパックに『二十円引き』とか貼ってあるんやもん!」

京「じゃあせめて二つ買うところを一つにしましょか?」


 このお姐さんのお家は市内でチョッピリお買い物をするのに不便な場所にあります。だから仕事帰りに足を延ばして京の近所にあるスーパーへ来るのです。


姐「一パック二個入りやもん! 娘が生クリーム嫌いやから私が二個食べてしまうんやもん!」

京「二個食うな、一個残して次の日に食べたらいいでしょ?」


姐「京さんにはわからんかなぁ、そこに生クリームが有るから食べるんやで?」

京「そこにあるからって……登山家じゃないんやから。パンコーナーの前を通らんようにすればいいでしょ?」


 姐さん本人も生クリーム断ちが出来ない自覚はあるようです。この姐さんは毎回パンコーナーの前を通っては生クリームたっぷりなパンを買ってしまう困ったおばちゃんです。


姐「でもシュークリームは生クリーム無しは食べへんし(ドヤ顔)」

京「ドヤ顔で『生クリーム無しは食べへんし』って言われてもなぁ」


 姐さんの好物のひとつにシュークリームが有ります。生クリーム無しは食べないそうです。ダブルクリームしか食べないこだわりの持ち主。


京「いっその事真ん中が生クリームだけになってるロールケーキを食べて満足したらどうです?」

姐「そんなん一個で満足できるわけないやん、ロールケーキだけじゃ満足できんからシュークリームも……聞いてる?」


京「勢いで食べたらだめですよ、じゃないと食べ過ぎて気持ち悪くなるんやから。お互いもう生クリームを簡単に消化できる歳じゃないんですよ?」

姐「食べてしまうんやもん!」


 休み明けに「生クリーム生クリーム言うてたら食べてしもた」とか言って野菜だらけの弁当を持ってくる姐さんの姿が思い浮かびました。

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