何でも役割がある

 私の住む家は築四十年を超えた中途半端な古い建物です。まぁ古いからあちこち傷んでそのたびに修理するわけです。昭和五十年代の建築物なもんで配管が弱いみたいでしょっちゅう修理してます。水道管とかに使われてる塩ビ管が弱いみたい。業者さん曰くオイルショック直後の塩ビ管を含む樹脂系の製品は品質がイマイチだとか。検証したわけじゃないし、そもそも品質云々は抜きでも寿命だと思います。


 そんな我が家は法事や葬式が出来るように間取りがされている木造家屋なわけで、当然ですが和室が有り襖や障子があるわけです。障子は自分で張替えできるけど、襖はちとハードルが高い。それに四十年物となれば下地から傷んでいてやり直さなきゃならない。


 バイクを弄る私でも紙(何度も『髪』と出てむかついた。禿げかけてる私に対するあてつけか?)は専門外。業者にお願いしました。


 団塊世代と団塊ジュニアはとにかく同級生が多いんですが、私も例外ではなく、せっかくだからと同期に頼むことになりました。多分だけど同期に声をかければ家が一軒位建つんじゃないかって位、多種多様な仕事に就いてる。


 安い料金でする業者があるけれど、私の同期は昔ながらの職人で、寺院にも納めるレベルで仕事をする職人です。そんな同期と話していて「安くで仕事をする業者が出てきて大変じゃないか?」ってなったんです。でも「安くで張り替えるところは安くで張り替える所なりに、俺らには俺らでそれぞれ役目がある」と言われました。


 で、同期に襖を張り替えてもらって数年が経ちました。多少日焼けとかは有るかもしれないけれど、我が家の和室はボロ屋の中で唯一パリッとしてます。しかも上手く動く様に敷居とか色々見てくれたんでシュッと開け閉めできます。


 長く使うなら職人に頼むのが一番いいんですよ。でも数年ごとに襖紙を張り替えて気分転換するのも良いかもしれない。私の家だと気分転換よりも一度張り替えたら長持ちするほうが良い。考え方や求めるものは人次第。多分だけどそれに合うのが『ものの役割』なんだろうね。

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