君に会えない僕は夏休み君と出会う

名無しのポチ

第1話 集合

 今俺は山頂にある平原にいる。太陽が顔を出して少し経ち、木で隠れていた太陽がはっきり見え、日光が髪の毛をフライパンのように熱くする。タオルをカバンから取り出し頭にかける。太陽の日光はタオルを貫通して、俺の髪には攻撃できないらしい。

 ここまで来るのに一時間は掛かった。昔運動部に所属してたとはいえ山登りは面倒くさい。それも夏真っ只中。好き好んでこんな事はしない。

 平原には膝くらいまでの草が多い茂ってる。半ズボンで来た俺の足はなんでもしてくれよ状態。ダニや虫、草で足が切れたりするかもしれないので草を踏みつけるようにして走る。

 夜に雨が降っていたからか、草には雫が残っていた。遠くから見たら雫が光を反射し、ダンジョンに落ちてる宝石みたいに綺麗に見えた。だが歩くとなったら別だ。少しぬかるんだ地面、濡れる足。何もいいことがない。なのに何で朝っぱらからこんな場所に来るか。自分でもわからない。

 いや、わかるんだけどわからない。なんでこんな"奴"の為に来なくてはならないのか。

 僕は汚れた足を少し見てから前を向く。

 そこには僕の身長の二倍くらい大きい扉がそこにはあった。扉の色は明度の高い黄色や黄緑、白などの色でずっと変色し続けている。どんなギミックかは、わからない。気になりはするが扉を押してその先に行こうとは思わない。僕は扉がの先に行かずに誰かが来るのを待っている。

 扉から少し離れて待機する。携帯はバッテリーがなく、疲れて腰を下ろそうにも地面はぬかるんでいて休憩はあまりできない。。集合時間は七時と言っていたのだが集合時間から二十分は経っている。二十分の遅刻はいつも通りなのでもう慣れっこ。そろそろ来ると思うけど、、、

      キィーーーーー

 あ、来たか。大きな扉が開き始めた。中からは光が溢れ出てきて、向こうの世界が見えない。僕は目を細め顔を腕で隠す。寝起きに浴びる光のように強く感じる。

 「やぁやぁ、待たせたね諸君」

 「いや僕だけだから」  

 「あら、そうでしたか」

 「『そうでしたか』じゃなくて何か言うことはないか?」

 「遅刻してしまい申し訳ない」

 今頭を下げて謝罪しているのが、"前山カレン"だ。謎の扉から出てきた彼女の存在はよくわからない。「君がこの扉の向こうに行くと死ぬよ」前そう言われ扉に入ることはなかった。扉の先はなんなのか。カレンは何者なのか。僕は全てを知らない。それでも今はカレンと遊ぶことがとても楽しい。今はそれだけで十分だった。この後彼女の存在を知り後悔することなど思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

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