第11話 『謹賀新年! 薄紫色の書き初めダイナミック!』

さあ、出でよ! 薄紫色の動詞たち~!


꒰ღ˘◡˘ற꒱❤⃛ 『重なる』 ★

ღ❤ღ´ェ`*)  『いれる』 ★

ʕʘ̅͜ʘ̅ʔ      『たつ』 ★

(◍◉౪◉◍)  『濡れる』 ★

(→∀←人) 『入らない』 ★

(∩❛ڡ❛∩) 『舐める』 ★

(ะ♔´ะ) 『やられた』 ★

ʕథ౪థʔ  『尖る』 ★

(♧◑ω◑)☞ 『汚れる』 ★


 上記の薄紫な動詞たちをちりばめて、薄紫色の情景をひとつ、描き出してください!

 ほんの1行でも、やる気が出すぎて4000字でも、長さはどのくらいでも構いません!

 ただし! 最低3つは使ってね?(๑>◡<๑) ɭ ɿ兯ん❤


 ★☆★★☆★★☆★★☆★


 車の中に戻ると、店員さんから受け取ったそれを、君は舌を尖らせて、コーンカップには当てないように、アイスクリームを上に向かって舐め上げた。舌の温度でアイスが溶けて、服が汚れてしまわないようにするには、可愛らしい球体のそれのコーンからはみ出した部分を上へと伸ばし、コーンの円周の中にいれてしまわなければならないらしい。


本人曰く、トラウマみたいなものなのだそうだ。

 その時はソフトクリームだったそうだが、子供の頃に、普通に食べていたら、いつの間にか溶けたバニラが、指から腕を伝い、肘から服や靴へと垂れ落ちて、一張羅の服がベタベタになってしまった。直ぐに、トイレの洗面台へ向かい、汚れそのものは洗い流せたが、服そのものはビチャビチャに濡れてしまい、旅先だったせいで、着替えもなかったのだと。


 しかし、まぁ。なんというか、彼女には全くそんな気はないのだろうが、食べ方がいやらしい。いや、こんな事を考えてしまう僕の方が不純なのは解っているのだが、彼女は、アイスクリームに挑むような、それでいてうっとりとした目を向けているから…、その…どうしても想像しちゃうんだ。僕のナニも、これぐらい美味そうに舐めてくれるんじゃないかなって。

アイスクリームは球体から、梵鐘の様な形になっていた。アイスがコーンの円周内に収まったのか、笠型にあたる部分を咥える。

(あ、やべぇ。たちそう)

駄目だ。彼女が食べ終わるまで出発しない以上、無言でいるのは僕がキツい。


「なんで、コーン、齧らないの?」


はっきりいって、どうでもいい質問をぶつける。彼女は、竜頭の部分をチロチロと舐めていた舌を引っ込めて、キョトンとした目を向けて来た。


「なんでって、齧っちゃったら、アイスがコーンの中に入らないじゃない」


「へっ?」


「あのね。こういうアイスって、コーンの上に乗っかてるだけじゃない。つまり、コーンの中にアイスが詰まってないのね。だから、アイスを先に全部食べちゃうと、最後に、コーンだけを食べる事になるの」


「うん」


「だから、…う~ん。そうね、もうちょっとアイスだけを食べたら、コーンの中にアイスを押し込みながら食べるの。そしたら、コーンとアイス、一緒に食べられるでしょ」


「はぁ……」


よく解らないが、とにかく彼女が、アイス一つに対しても、味わいつくそうという意気込みだけは感じられた。

そして、その時が来たらしく、彼女は舌先に強力な圧をかけながら、アイスをコーンの中に捻じ込んでいく。

なんていうんだろう。「なるほど」としか言いようがない。

彼女は、コーンの先端にまでアイスをいきわたらせて食べきった。


満足げな、とても幸せそうな笑顔だ。

彼女の幸せそうな顔に、僕もなんだか嬉しくなった。


「じゃあ、行こうか」

僕は前を向いてハンドルを握った。


「あ、ちょっと待って、シートベルト…」

そう言って彼女はバックルに手を伸ばして、ストップした。


「ん? どうしたの?」


僕がそういって彼女の方へと顔を向けると、彼女は唇の端をにっと吊り上げ、僕の方へ顔を向けたかと思ったら、僕の口の中に冷たくなった舌を滑り込ませた。

彼女の舌先は、僕の舌をなぞりながら深く潜りこんで絡めてきた。僕達の舌が重なって、強く思った。


(くそっ。やられた。これで、たたないわけがないじゃないか!)


★☆★


これは、薄紫だね。

薄紫色の動詞たちの横の★マークは、使用済みのマーク。

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