第5話 あれから1週間

あれから1週間がたった。


僕の学校生活は最初と変わらない。

今でも友達がいない生活が続いている……

今日もこれから何も変わらない学校生活が始まろうとしてる。


だが、このまんまではいけない。

僕は今日から友だちづくりをする!


僕はこの1週間何もしていなかったわけではない。

周りの女子たちを観察して、僕みたな孤立している子を探していたのだ。

そして、見つけた。


そう、自分を……

う、涙が出そうだ。


1週間ずっと観察をしていたが、大体の女子は中学から仲の良い子がいて一人でいる子なんて僕ぐらいしかいなかった。

その結果どうなるって……僕は友達ができないという結果に行き当たってしまった。


今僕は屋上で隣にいる人にそのことを話していた。

僕の隣には伊藤先生の姿があった。


「大変だよね。やっぱり、男が女子になじむのは無理なのかな……」

と死んだ魚のような目で答えてくれた。


その姿を見て僕は

「伊藤先生も大変なんですね……」


死んだ魚の目をした伊藤先生も僕と同じで悩みが絶えないみたいだ。

僕と伊藤先生はこの学校唯一の男なのだ。


母が教えてくれなかったが、この1週間の間に僕と伊藤先生は悩みを言い合う仲になっていた。

伊藤先生によるとこの学校での男の先生は肩身が狭いらしい。

心を開いて話せるのは僕ぐらいだといって感謝されている。

それは僕も同じで伊藤先生がいなかったらもう不登校になっていたかもしれない。

年齢は離れているけれど親友みたいに悩みを言い合える学友である。


「そういえば、君の後ろの席の真城なゆきさんって知ってる?」

先生が突然聞いてきた。


「そら、知ってますよ。」

顔と名前ぐらいなら……


「実はあの子いじめられてる感じなんだよ。」


「ん、そうなんですか」

あの子はよく他の女子と4人でいるのを見るけど。


「先生もそんなに詳しくわからないんだけど……」


「はぁ。」


「だから、真城さんがいじめられているのか、探ってもらえないかな」

先生の頼みなら断る理由もないし、


「まぁ、暇だからいいですけど。」

と承諾した。


「ほんと、ありがとう。」


「それも先生の仕事だからですか、そんなに気にするのって。」


「まぁ、それもあるんだけど、人として見過ごせないというか……」


「わかります、それ。」

先生は僕が共感してくれたことが嬉しそうだった。


そんな話をしていたらチャイムが鳴った。


「では、頼んだよ。」


「了解っす!」

今日の僕と先生の秘密の密会は終わった。

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