第27話文化祭

「たこ焼き一つ下さい」

昼食を軽く屋台で済まし、教室に戻る。

お化け屋敷の隣の教室が空き教室になっており休むには丁度よかった。

さてと、ここから何をしようかな……

残りの一時間ずっと見回ってるのもしんどい。

本来なら夕方の時間に絞っても良いのだろうけれど相手が全く知らない現状でそれをするのはあまり良くない気がする。


やばいな……お腹に食べ物入れたら昨夜の疲れか?眠たくなってきた……


「おーい!起きてよ!」


「うわぁ!!!」

呼ばれた方向に目を向けると般若のお面をつけた菫がこちらを見ていた。

どうやら寝てしまい休憩時間を使い切ってしまったらしい。


「交代の時間だよ〜」


「ホントダ……アリガトウ……」


「もうしっかりしてよね!はいこれあげるから」

そう言うと、つけていた般若のお面を俺に差し出した。


「いらんわ〜」


「まぁ、そう言わずに!」


「やめ、やめろよ」

半ば強引にお面をつけさせられた。

つけた本人は満足そうに笑っている。

それに……


「いい匂い」

バン!!

菫が手に持っていた冊子が頭に叩き落された。


「なんだよ!そっちがつけさせたんだろう〜」


「こ、香水の匂いだよ!」

何で香水の匂いでそんなに慌ててるんだ。

でも菫って香水つけてなかったような……

ここで察した。

叩かれた事を考えると……

リップクリームの……


「ご、ごめん……」

お面で顔が隠れていなかったら頬が赤くなっていたに違いない。


「はやく、行ってきなよ!」


「そうだな……行ってくる」

もう俺は駄目かもしれない。

顔をさっと扉の方に向けて早足で教室に向かった。


夕方。空がぼやけ始めた頃、人混みも落ち着き一日目が終わろうとしていた。

特に怪我などの大きなトラブルもなく進んだ。


「文化祭一日目は間もなく終了します。皆さん後片付けを始めてください」

文化祭実行委員の誰かが放送で校内に知らせる。

外部の客は門に歩き出し生徒は片付けを始めた。


ドガン!!


「キャー!!」


音の下方向を急いで確認するとそこには黒煙が上がっていた。

理科室の方向だ。

確認しなければ……

現地にたどり着こうとするが人混みで上手く移動できない。

何か悪意の視線を背後に感じた。

背筋が凍りつくような……

一瞬振り返ったがその姿をはっきりと捉えることはできず人の波に攫われた。


現場には炎が立ち込めその熱波は離れている俺の位置まで寄せてくる。


「お前たち、何してる!逃げるんだ!」

塚本先生が野次馬になっている生徒たちに避難を促す。

火災報知器の音が鳴り響く中、避難を始めた。

グラウンドに出るとクラスメイトは指示に従い全員避難していた。

この中にさっきの奴がいるかもしれない。

あたりを可能な限り見渡すが発見することは出来なかった。


「これは明日の文化祭は中止だな」

クラスが揃ったと報告を済ませた塚本先生がボソッと呟いた。









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